第21話 初めてのダンジョン
街で買い物をした次の日の朝食後、
「マリちゃん、俺は剣術の修行をしたいと思うんだけど」
「私は午前中に家庭教師とお勉強をしなければならないから。ケンちゃんは、スズちゃんとルディくんとお庭で稽古をすればいいわ」
「うん。 スズちゃんルディくんお願いします」
「「は~い」」
「みんな、怪我をしないように稽古用の
「「「は~い」」」
「ケンちゃん、試合じゃなくて形稽古をしっかりやってね」
「うん、そうだね。基本が大事だよね」
「野球もそうでしょ?」
「うん」
「時々ケンちゃんの寝殿高校に野球の練習を見に行ったけど、球拾いばかりしてたね」
「一年生はそれが普通だからしょうがないよ」
「でもケンちゃん引き篭もっちゃったから、ちゃんと野球の練習出来なかったでしょ?」
「……うん」
「剣術の稽古は頑張ってね」
「うん」
「野球も剣術も応援してるんだからね」
「うん。見てくれてたのを知ってたら、もう少し頑張れたと思う」
「ちゃんと見てるから投げ出さないでね、私の
「うん。マリちゃんの
「ありがとう」
「俺のほうこそ」
お勉強が休みの日に成ったので、お弁当を持って皆でレベリングに行く事にします。
因みに『レベリング』という言葉は、この世界には無いようです。
レベルを上げる為に魔物を倒すと言う考え方も、あまりしないようです。
マリエル隊は馬車で南の草原を通り過ぎ、森へと入って行きます。
「スズちゃん【索敵】お願いね」
「は~い」
「マリちゃん、一応ダンジョンの方へ向かってみようよ」
「そうね、じゃあ適当な所で街道から脇道に入りましょう」
「お嬢様、この先にダンジョンに続く道が右に見える筈です」
「ありがとうルイス、その道に入ってください」
「畏まりました」
途中三匹のゴブリンに遭遇して、ケンちゃんとスズちゃんが【剣術】で『サクッ』と倒しました。
「二人供スゴォォイ。剣術が上手に成ったねぇ」
「へへ~っ」
「ね~っ」
やがて森の中に開けた場所が見えてきて、崖の岩肌にダンジョンの入り口が開いていました。
このダンジョンは、深さが十階迄あるそうです。
階毎にレベルが上がって行き、最後のフロアにボスが居るそうです。
今日はとりあえず一階を探索してマッピングもする予定です。
ダンジョン前の広場には、他にも馬車が二台止まっていました。
「ルイスとメアリィは、馬車でお留守番をお願いします」
「「はい」」
「お嬢様お気を付けて行ってらっしゃいませ」
馬車の中で既に今回のダンジョン冒険メンバーを決めてました。
私、ケンちゃん、スズちゃん、ルディくん、ピーちゃんでダンジョンに入ります。
「それじゃあ、『ケンちゃんオオキクナ~レ!』」
ググググゥゥゥンッ!
ケンちゃんは体調180センチの熊人形に成りました。
「それでは、ケンちゃん・スズちゃん・ピーちゃん・ルディくん・私の順番で進みましょう」
中に入ると、結構広い通路が真っ直ぐ奥へと続いてます。
通路の途中で赤いスライムが居ましたが、ケンちゃんがロングソードで魔核を一突きにして倒しました。
「ケンちゃん上手になったねぇ」
「へへぇぇっ」
暫く行くと小部屋が有ってゴブリンが二匹います。
「此処はケンちゃんとスズちゃんと二人でお願いします」
「オッケ~」
「は~い」
サクッ、サクッ!
「二人供スゴ~イ! いい子いい子、本当に【剣術】がレベルアップしてるのね」
「ちゃんと稽古したからね」
「ね~っ」
私達は討伐部位とドロップアイテムを回収して更に奥へと進みます。
「あれなぁに?」
フワフワとバスケットボールぐらいの柔らかそうな物が漂っています。
「フワフワを【鑑定】! ……まぁ、ゴーストだって!」
ケンちゃんが斬りかかりますが、あまり効果が有りません。
「ゴーストを【浄化】!」
シュイイインッ!
ゴーストはあっけなく消えてしまいます。後には魔石だけが落ちていました。
「今度でたら他の魔法が効くか検証しましょうね」
「「「は~い」」」
検証の結果は物理攻撃に耐久性が高く、魔法攻撃に弱いようでした。
それでも一階に相応しい低レベルの魔物のようです。
「マリちゃん一階はスライムとゴブリンとゴーストしか出現しないね」
「うん、簡単に攻略できたね。たぶん二階に降りても大丈夫だね」
「じゃあ、二階に降りようか?」
「ダメよケンちゃん、今日は一階だけの約束よ」
「は~い」
私達はマッピングをしながら、時々出現する魔物を倒して入口に戻りました。
「ルイス、メアリィ、 帰ったよぉ!」
「「お帰りなさいませお嬢様」」
「ご無事で何よりです」
「お早いお帰りでしたね」
「はい。特に何も問題ありませんでした」
私達は草原でお弁当を広げて昼食を取ります。
そして三時には、御屋敷でおやつを食べました。
「マリちゃん、アストリア魔法学院に入学する前に、もう少し強い魔物と戦ってみたいねぇ」
「ケンちゃんは今の所順調に強くなってるよね」
「お嬢様、普通の御令嬢は魔物退治はしませんよ」
「そうよね、ジュディ。お遊びの範囲で危険な事はしませんから心配しないでね」
「はい、お願い致しますね」
「「「は~い」」」
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