第11話 採取とレベリング

 私達は城下の南の草原で、薬草採取と魔物討伐によるレベリングをしています。

 採取した薬草をケンちゃんのお腹のマジックバッグに入れると、レシピに従ってポーションを作る事ができるのです。

 作ったポーションは、そのままマジックバッグの中にキープする事も出来ますし、薬草のままキープしとく事も出来ます。

 つまり、熊のお人形であるケンちゃんのお腹は、マジックバッグ兼錬金装置に成ってるのです。



「私はまだレベル1だけど、パーティ登録したんだからレベルが上がるといいなぁ」


「お嬢様、私も手を繋いでましたけど、レベルを上げた方が良いのですか?」


「うふふふ、メアリィも一緒に冒険しましょっ!」


「はい……」



「とりあえず今は、ルイスとケンちゃんとピーちゃんに頑張って貰いましょうね」


「「はい」」

「オッケー」

「キュルキュル」



 私達は採取しながら、魔物を探します。


「スライム居ないねぇ」


「お城に近いですから……この辺には少ないです」

 ルイスが応えました。




「あっ、なんか違う色のスライムが居るよ!」


 銀色に鈍く光るスライムがお昼寝していて、鼻提灯はなちょうちんが飛んでフワフワと漂っています。



「へタレスライムです! へタレなのでスグに逃げますが、中々倒せず経験値が沢山得られると言われています。一発で仕留めないとスグに逃げてしまうのです」


 声をひそめてルイスが教えてくれました。



「ピーちゃん、お願いね」


「キュルキュルッ!」



 ピーちゃんが口を大きく開きます。


「ピャッ!」


 シュゥゥゥッ、ドォンッ!


 ピーちゃんの口から氷の弾丸が飛び、核に命中してへタレスライムを倒しました。



「ピーちゃん凄い! いい子いい子!」


「キュルキュルッ」



 パッパカパァァンッ! パッパカパァァンッ! パッパカパァァンッ!


「ワァ、3回もレベルが上がったわぁ。レベル4に成ったのぅ!」


「「おめでとうございます、お嬢様」」



「光属性魔法と土属性魔法が、レベル1だって!」


「お嬢様おめでとうございます。光属性魔法を使える者は少ないのですよ」


「わーい、やったぁぁ。……貴方達もレベルが上がったんでしょう?」


「私達は自分で確認できませんが、たぶん上がっていると思います」


「そぅ……じゃあ見てあげるね、ルイスとメアリィを【鑑定】!」


 シュィイイインッ!



「まぁ、ルイスがレベル24で、メアリィがレベル5だわ!」


「はい、有難う御座います」



「マリちゃん、俺はレベル8だよ!」


「ケンちゃんは、何か魔法が増えたの?」


「【火炎槍】ファイヤーランスが増えたよ」


「凄ぉぉいっ! 良かったねぇ」


「お嬢様、ファイヤーランスは、ファイヤーボールの上位魔法です」


「そうなんだ。教えてくれてありがとう、ルイス」




 暫く行くと、又銀色に鈍く光るスライムが居ました。


「あっ! 同じ銀色のスライムだけど、何か態度が悪そうに見えるわ!」


「ヤサグレへタレスライムです! 群れから独立してヤサグレてますが、やはりへタレなのでスグに逃げます。更に倒すのが難しいので、経験値がもっと沢山得られると言われています。一発で仕留めないと逃げてしまうのも同じです」


「じゃあ、逃げられない様に私が目潰しするね。……ヤサグレへタレスライムを【ブラインド】!」


 ピッキィイイインッ!

 ヒギィッ!


 ヤサグレへタレスライムは目が見えないので、ウロウロ、ジタバタしています。


「ケンちゃん、ファイヤーランスを使ってみたら?」


「オッケー……ヤサグレへタレスライムに【火炎槍】ファイヤーラーンス!」


 ボワッ…シュゥゥゥッ…ヴァアアアンッ!


 火炎槍が核に命中し、ヤサグレへタレスライムを倒しました。



「ケンちゃん凄い! いい子いい子!」

「ヘヘヘヘ~ッ」


 パッパカパァァンッ! パッパカパァァンッ! パッパカパァァンッ!


「わあ、又3回レベルが上がったわぁ。レベル7に成ったのぅ!」


「「お嬢様おめでとうございます」」



「う~ん、ちょっと気持ち悪く成ったから、今日はもぅ帰りましょうか?」


「マリちゃん、それたぶんレベル上げ酔いってヤツだよ」


「そう……メアリィも気持ち悪いの?」


「はい、ちょっと気分が悪いです」



「じゃあ、帰りましょう」


「「はい、お嬢様」」

「オッケー」

「キュルキュル」




 私達は馬車に乗ってお城に帰ります。

 しばらく馬車で走ると、道端に座り込む母子が居ました。


「ルイス馬車を停めてちょうだいな」


「はい、お嬢様」


 御者ぎょしゃをしているルイスが馬車を停めました。



「こんにちは、どうしたのですか?」


「母が病気で……城下のお医者様に見て貰おうと向かっているのですが、具合が酷く成ってしまって歩けないのです」


「まあ大変。ちょうど、お薬を持っていますから、お飲みになってくださいな」


「有難う御座います。お金は、これだけしか持っていないのですが足りますでしょうか?」


「お金は要りませんわ、遠慮なくお飲みになって下さいな」


(初めて作ったポーションだから、効き目が分からないしね)


「有難う御座います、頂きます」


 ゴクゴクゴクゴク……、

 ホワワワワァァァン!



「まぁ、飲んだばかりなのに……体が軽くなって、気分もさわやかに成りました!」


「そんなスグに?」


「はい。これ程良く効く薬とは、キット宮廷魔道師様が作った物なのですね。高価な物を有難う御座います、このご恩は忘れません。どうぞ御名前をお聞かせくださいませ」


「クロッシュア・ラグリス・レオポルド辺境伯様の一子いっし、マリエル・ウォルフ・レオポルド様です」


「ははぁぁっ、御領主様のお子様で。知らぬ事とは言え、ご無礼致しました」


 母子はそろって、その場に平伏しました。



「病気が治った様で良かったですね、ごきげんよう」


 私達は平伏する母子を置いて、さっさと馬車に乗って城に向かいました。


(試しに作ったポーションが効いて良かったわ)






「エイルちゃん、こんばんは。

 草原でレベリングをしています。

 レベル7に成って、光属性魔法と土属性魔法がレベル2に成りました。

 完全回復ポーションを病気の母親にあげたらスグに治りました。

 いつも見守ってくれて、ありがとう。

 おやすみなさい。

 親友マブダチのマリエルより」




「マリエルちゃん、こんばんは。

 レベルが上がって良かったね。

 土属性が有るのは分かってたけど、光属性も覚えて良かったね。

 光属性は、人族では珍しい魔法です。

 おやすみなさい。

 親友マブダチのエイルより」

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