第7話 草原でゲットだぜ!

「ねぇ、ジュディ。そうげんに、いくでしょう?」

「はい……。護衛騎士に頼みたいのですが……」


「はやく、たのんで」

「男の人に声を掛けるのが……苦手なんです」


「ふ~ん、はずかしいの?」

「……はい」

 ジュディはモジモジと体をくねらせてる。


「ジュディは、ダレに、こえをかけようと、おもってたの?」

「ルイスです、私と同じ歳なんです」

 ジュディはモジモジと体をくねらせてる。


「どういうひと、なの?」

「やさしくて、かっこいい人です」


「すきなの?」

「違います違います、私なんかダメです」

 ジュディは益々モジモジと体をくねらせる。


「すきなんでしょ?」

「好きだとしても私なんかダメです」


「ふ~ん、いま、どこにいるの?」

「たぶん、使用人の休憩室です」

「じゃあ、つれてって」

「……はい」




 私はジュディに手を引かれて休憩室まで歩いた。


「こちらです」

「あけてちょうだい」

「はい」


 ガチャリッ、


「あっ、お嬢様!」

 休憩中の二人の男が起立して、挨拶をした。

 二人供、結構イケメンだ。


「ルイス、わたしをおそとに、つれてって」

「はい、ですがそのような命令を聞いてません」

「わたしのオネガイです。みなみの、そうげんに、つれてって」


「恐れ入ります、少々お待ち下さい」

 もう一人の年上に見える男が急いで部屋を出て行った。



「お嬢様、どうぞこちらにお座り下さい」

 私はルイスに抱き上げられて椅子に座った。ミルクとお菓子が私の前に出された。


「いただきま~す。モグモグモグ」

 抱いていた、ケンちゃんが口をア~ンと開けている。

 私はルイスの目を盗んでケンちゃんの口に入れた。


「モグモグモグ」


 ルイスの目がケンちゃんの口元を見つめている。

 私は慌てて、ケンちゃんの口を手の平で隠した。


「へへ~」

「ははは……」



 ガチャリッ、


「奥様の許可を頂きました。お嬢様、私達二人が同行致します。馬車を御用意致しますのでお待ち下さい」

 そう言うと又出て行った。


 ルイスはベルトにケンとナイフを装備した。


「ジュディ、わたしたちも、きがえましょ」

「そうですね、お部屋に戻って外出着に着替えましょう」

「ジュディ、ひらひらはダメ、うごきやすいのに、して」

「はい、お嬢様」



 ジュディが着替えを持って来た。


「そうだ、ケンちゃんこっちむいて」

「うん」

「【ブラインド】!」


 ピッキーンッ!


「うわっ、目が見えない。マリちゃんひどいよ!」

「きがえるまで、まっててね」

「まだ、幼児なんだから、見たっていいじゃない?」

「ダ~メッ。ごレイジョウのキガエをみるなんて、フケイザイだよ」

「チェッ」




「お嬢様、それでは、正面玄関で馬車を待ちましょうか」

「うん。……ケンちゃんを【開眼】」


 ポワワ~ン!


「あっ、見える様になった。良かった~」




 部屋から出ると、ルイスが待っていた。


「ルイス、てをひいてちょだい」

「はい、お嬢様」

「ジュディもね」

「はい、お嬢様」


 私は右手をルイスに、左手をジュディに引いて貰う。

 ケンちゃんはルイスに抱っこされてる。ジュディはケンちゃんが怖くて嫌がるから。



「パパンとママンみたいだね~」

「まぁ」

「ははは」


「ルイスパパン、ジュディママンって呼ぶね~」

「「……」」



 正面玄関に着くと、既に馬車が停まっている。

 もう一人の護衛騎士ロベルトが、ベルトに剣とナイフを装備して待っていた。


「お嬢様、お手をどうぞ」

 ロベルトが馬車のドアを開けて、手を引っ張ってくれる。


「ロベルトおじちゃん、ありがとう」


「プッ!」

「クスクス」


「ウオッホン。ルイス不謹慎です」

「「失礼しました」」




 馬車は城下を南に向かい、外壁の南門から草原に出た。門衛二人が最敬礼をして見送っていた。


 暫く街道を進み、広い草原の真ん中で馬車が止まった。


「お嬢様この辺りで如何でしょうか?」

「モンスターでるかしら?」

「スライムと角ウサギは時々見ます」


「じゃあ、ここでおります」

「はい」



「は~っ、気持ち良いですね。お嬢様」

 ジュディが背伸びをした。


「そう、よかったね~。 ところで【調教】ってどうするの?」

「私は分かりません」


「ゲームなら、まず弱らせてからカプセルをぶつけるんだよね」

「ケンちゃん、カプセルもってるの?」

「持ってない」


「じゃあ、ナニをぶつけるの?」

「ここには、石ぐらいしかないね」


「よわってるモンスターに、いしをぶつけるの?」

「……トドメを刺しちゃいそうだね」


 少し離れて話を聞いていたルイスが割り込んできた。

「弱らせたらお嬢様の【調教】スキルを発動してください。モンスターに向かって【調教】と言って下さい」

「うん、わかった」


 ルイスもロベルトもケンちゃんを見て何も言わない。


「ルイスはケンちゃんのこと、しってたの?」

「はい、二年以上見てますから。最初はお嬢様に危害を加えないかと注意してましたが。時々走ってるだけでほとんどグウタラしてるので、問題ないと判断しました」


「ケンちゃん最近走ってないよね?」

「うん……」


「今、MPいくつ?」

「……1、だけ」

「このっ、なまけもの~っ!」


 パンッ、パンッ!

「アウッ、アウッ……」

 私はケンちゃんの頬を往復ビンタした。


「お嬢様、暴力はいけません!」

「ニンギョウだから、いたくないの、ダイジョウブなの」


「でも、ご令嬢として、問題あります」

「そう……。

 ケンちゃんMPが1じゃ、ファイヤーボールうてないでしょ?」

「そうだね、分かったよ。MPを溜める為に走ってくるよ」

「うん、がんばってね」

「いってきま~す」


 ペコッ、ペコッ、ペコッ、ペコッ、……。


 ケンちゃんが走り去るのを見送ってるとルイスが話しかけて来た。

「お嬢様、私達護衛騎士がサポートしますから、モンスターを探しましょう」

「うん」

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