第5話 強い男に成りたい!

「俺はマリエを守る為に強くならねば!」


「アイガト、ムリ、チナイデネ」



「う~ん、昨日から『ファイヤーボール』って言い続けてるけど、まだレベル2に成ってないみたいだよ。そもそも、自分のステータスって確認出来ないのかなぁ」


「チュテータチュ、オープン! アッ、デキル」



マリエル・ウォルフ・レオポルド

レベル1

HP5/5 MP5/5

ギフト 『虹の橋ビフレスト』通行許可書

特記事項 女神の御親友



「ケンチャン、ミテ」


「どれどれ、あっ見えた。……チートっぽい物があるけど、何が出来て、何のメリットがあるのかなぁ?」


「ワタチモ、ワカナナイ」


「ふ~ん ……じゃあ俺も、ステータスオープン!」



ケンちゃん

レベル1

HP1/∞ MP1/∞

職業 ヌイグルミ

パッシブスキル

 人形体質

 走行時スタータス上昇

 静止時ステータス下降

火属性魔法レベル0

空間属性魔法レベル1

特記事項 マリエルと一緒



「あっ、何か凄いチートっぽいけど!」


「ド~レ?」


「「……」」


「ヤッパリ、ワカラナイネ」


「うん……とにかく、行動あるのみだね」



 ケンちゃんは、走ったり止まったり、少し動いたりしながら、ステータスを確認します。


「1メートル走るとMPが1増えて、止まると1分毎にMPが1減る仕様だって言ってたけど。HPも一緒だね、良かったなぁ。 あと、少しでも体の何処かが動いてると、HPとMPも減らないみたいだ。それに、自然回復は普通にしてるみたいで、HPとMPは2分に1回復してるよ」


「チョウ、……ヨク、ワカラナイ、ケド」



「つまりHPとMPは、1分で1減って、2分で1増えてるんだ。結果、2分で1減ってるって事」


「フ~ン」



「1メートル走るとHPとMPが1増えて、静止しなくても2分で1増えるんだ」


「フ~ン、チョウ、……ヨク、ワカラナイ、ケド」



「まあいいや、とにかく結構チートに近いよ、これって!」


「ヨカッタネ」


「うん」



「じゃあ俺、又、呪文唱えながら走るから、気にしないでね」


「ウン」



 ペッコ、ペッコ、ペッコ、

「ブツブツブツブツ……」


 ペッコ、ペッコ、ペッコ、

「ブツブツブツブツ……」


 ペッコ、ペッコ、ペッコ、

「ブツブツブツブツ……」


 パッパカパーンッ!


「やったぁ、レベル上がったよっ!」



ケンちゃん

レベル2

HP50/∞ MP50/∞

職業 ヌイグルミ

パッシブスキル

 人形体質

 走行時スタータス上昇

 静止時ステータス下降

火属性魔法レベル1

空間属性魔法レベル1

特記事項 マリエルと一緒



「HPとMPは走った距離の分だから、レベル2と火属性魔法がレベル1になっただけ……」


 ケンちゃんは、【火属性魔法レベル1】の表示を人差し指で押しました。


 カチッ!


「あっ、ファイヤーボールレベル1って出た! 外に出て試して来る」


「ウン」



 マリエルが呼鈴を取ろうとすると。


「待って、ジュディを呼ばなくていいよ。窓を開けて外に出るから」


「ウン」



 ベッドを2人で押して出窓の下にずらします。

 ベッドの足にはキャスターが付いてるので、ストッパーをはずすと簡単に動きました。

 マリエルはケンちゃんの脇に両手を入れて持ち上げます。


「ウヒャヒャヒャヒャ~」


 ケンチャンが身をよじってもだえました。


「ガマンチテ」



 ケンちゃんは、出窓の上に這い登り、窓を観音開きにしました。


「じゃあ、行って来るね。確認するだけだから、スグ戻るよ」


「ウン」



 バフンッ! と音を立てて、ケンちゃんは地面に落ちました。


「え~っと、火事に成らない様に……、池に向かって撃ってみるかな。 ファイヤーボーール!」


 ボッ、シュゥゥゥッ! ジュンッ!



「やった、出来たっ!」


 テニスボールぐらいの火の玉が池に向かって飛んで行き、着水して消えました。



「ステータスオープン!」


ケンちゃん

レベル2

HP50/∞ MP45/∞

職業 ヌイグルミ

パッシブスキル

 人形体質

 走行時スタータス上昇

 静止時ステータス下降

火属性魔法レベル1

空間属性魔法レベル1

特記事項 マリエルと一緒



「ちゃんとMPが5減ってる。……よし、マリちゃんの所に帰ろうかな」


 ケンちゃんが見上げると、出窓が開いてるのは2階でした。



「マリちゃんの部屋は2階だったのかぁ! どうやって帰ろうかなぁ?」


 シュィイイインッ!


 そう思っていたら瞬間移動して、マリエルの脇にしがみ付きました。



「オカエリ」


「ただいま……どうやら【特記事項 マリエルと一緒】が発動したみたいだね」


「フ~ン」



「そうだ!」


 ケンちゃんはステータスの【空間属性魔法】をクリックしました。


 カチッ!


「あっ、【転移レベル1】って出た! 女神様に会った時の、最初のステータスには無かったのに。たぶん、【特記事項 マリエルと一緒】の影響だと思うよ」


「フ~ン」



 ケンちゃんは考えます。

「HPとMPの上限が無いからラッキーだなぁ。

 それにヌイグルミなので、寝なくても食べなくても問題ないし。

 誰でも寝てる時は倍で回復して、瞑想しても倍で回復する異世界の仕様があるらしいし。


 やべっ、これってチートになってる!?  女神様に修正されないように気を付けないと!」






「エイルちゃん、こんばんは。

 ケンちゃんがレベル2に成りました。

 ファイヤーボールも出来ました。

 ありがとう。

 ケンちゃんが【転移】で私の所に戻って来てビックリしました。

 出来たら、ケンちゃんの事も見守って上げてください。

 おやすみなさい。

 親友マブダチのマリエルより」




「マリエルちゃん、こんばんは。

 ケンちゃんがレベル2に成って良かったね。

 ファイヤーボールも使えたね。

 マリエルちゃんと、いつも一緒に居られる様にしたら、【空間属性魔法】の【転移】が付いちゃったね。

 転生後の仕様変更は結構難しいので、そのままにしときます。

 魔法やスキルを増やす事は簡単だけどね。

 おやすみなさい。

 親友マブダチのエイルより」

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