209 王都へ
「王都に向かうことになりました」
セルジュ様から言われた。
「王都の本神殿で私の正当性を確認するそうです。そう言った魔法具があるとか。巫女様に確認していただきましたが、本神殿ではこの検査をしないと信じられないという人が多いそうです。本国にもある鑑定の魔法具かもしれませんね。
これをクリアすれば、この国でも聖女として動きやすくなるでしょう。
正当性さえ確認されればこの国を旅する事もできると思います。皆さんの旅をサポートするのも容易になると思います」
どうやら王都に行くのは確定なようだ。
まあ、港町は獣人がいるくらいで見るとこなかったからね。王都ならもっと色々あるだろうし。
しかし王都か。3ヶ月だっけ。人間の大陸とは距離感が違うね。人間の大陸なら横断できてしまう。
俺たちは5人で馬車一台となった。セルジュ様は一人で一台だ。護衛と称してきているので仕方ないが、一人で馬車に乗るセルジュ様は暇じゃないだろうか。
使節団も王都に向かうようで、馬車を用意されている。各国ごとに一台だ。他に獣人の護衛などもいるので、長い列になっている。
獣人の国は魔物が極端に少ない。正確には出現する場所が決まっている。所々に点在する深い森の中心で魔物が湧くと言われている。何度か兵を向かわせて攻略しようとしたが、ことごとく失敗したらしい。奥に行くほど強い魔物がいたとか。
時間をかけて少しずつ攻略するという方法をとった事もあるらしいが、奥からどんどん湧いてきてキリが無かったそうだ。
途中で村に寄ったりしながら馬車は進んでいく。とにかく暇なので、馬車の中で魔法の練習をしたりしていた。もちろん狭い中で大きな魔法を使うわけにもいかないので、いかに魔力を抑えるかという訓練だ。3ヶ月もあれば何らかの成果があるだろう。
小さなゴーレムを作り、人間のように動かしてみたり、冷風を吹かせて涼をとったりした。一瞬ではなく、継続して魔法を使い続ける事で何らかの成果が出ると良いな、という感じだ。
あと、アッシュさんだ。ずっと腰にひっついているのだが、最近、体の形を変えれるようになってきた。剣の形にすると結構便利だ。
そういえば中級の召喚魔法試してないな。ずっと忘れてた。時間があったら試してみよう。何か良い魔物が出てくれると良いんだけど。
俺は何か忘れてることがないか、昔買った魔法書などを読み返していた。レベルを上げるヒントがあるかもしれない。魔力の循環では上がらなくなっているのだ。以前思いついた、局所的に魔力を集中させるという訓練も続けているが、レベルが一つ上がったに過ぎなかった。
他にもクレアが体がなまるというので、途中で体術の訓練を行ったりした。剣を使わない戦闘は初めてかもしれない。<格闘術>を会得した時は自主練だったし。
しかし、そのおかげで<格闘術>もlv2に上がった。
クレアも取得しても良さそうだったが、残念ながら取得していなかった。実力的にはlv1あっても良いと思うんだが、俺とは違い、なかなかうまくいかないものだ。
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