171 お金がない?
何か観光できる場所でも無いか聞きにギルドに来ると、ざわざわとしていた。
よく聞くと、マンティコアの討伐に失敗したらしい。
怒ったマンティコアが近くの村を廃墟に変えたらしい。予想通りだね。冒険者も死んだらしく、ギルドが人数を集めている。Cランク以上、20人。報酬は大銀貨3枚。
Cランク20人で倒せるんだろうか。元はAランク依頼だよね?それにCランクとはいえ、20人も雇ったら、赤字だろうに。
最初からAランク依頼の方が安くつきそうだけど。あの子爵、本当に有能なのか?戦力の逐次投入は悪手ですよ?
「メアリー、あの子爵、本当に有能なのか?」
「少なくとも冒険者の雇い方はわかってませんわね」
「リリア、お前ならどうする?」
「最初からAランクを雇いますわ。それがギルドの見解ですし。村に援助する形で村から依頼させます」
まあそんなところだろう。
何にせよ、俺たちには関係ない。メアリーとリリアは参加資格はあるが、強制依頼じゃないしね。
そう思ってたら、子爵の使いのもの、と言う人が子爵が会いたがっていると言う。面倒ごとの匂いがするが、貴族から招待されて拒否するのも角が立つ。
とりあえず話だけは聞こう。マンティコアの件だろうけどね。
俺はメアリーとリリアを連れて子爵の屋敷に向かった。
「メアリー殿下、お姿を見れてこれ以上の幸せはありません。リリア様もようこそいらっしゃいました」
「招待を感謝しますわ」
「それで、こちらの方は?」
「Dランク冒険者のジン様ですわ。私たちのパーティのリーダーをしてくださってます。貴族としてではなく、冒険者として呼ばれたと思いましたので、一緒に来ていただいたのですわ」
「そうですか、お気遣いありがとうございます」
お前の要件はわかってるぞ、と言う感じかな。ジャブだね。
「お茶の用意ができておりますので、こちらにどうぞ」
裏庭にある東屋に通される。
「メアリー殿下は冒険者としても有能だとか。ご立派ですな」
「それ程でもありませんわ」
「メアリー殿下はご結婚される予定は?」
「失礼ですわよ?ありませんわ」
「当家の長男がまだ結婚しておらず、、、」
メアリーにじろっと睨まれて、話を途中で止める。
流石にいい年した女性に、婚約者がいないのを分かっていても、結婚の予定を聞くのは失礼だと思う。さらに自分の子供を勧めるなんて。図々しね。
隣国の王族を子爵の婿にもらおうなんて、罰当たりですよ?
「子爵、御用がないのであれば失礼しますよ?」
「いえ、その、殿下は冒険者のランクはCですが、実力はもっと高いと聞いています。当家の管理している領地にマンティコアが現れてのはご存知でしょうか?」
「ええ、話は聞いています」
「それで、殿下のお力をお借りできないかと思いまして」
「募集に応じろと?」
「出来ればお願いできるとありがたいです」
「あまり細かいことを言う気は無かったのですが、なぜAランク依頼にしないのですか?」
「実は領地の経営がうまく言っておりませんで、十分な報酬を用意できなかったのです。国に予算をもらおうにも、来年になるとか言われて。
冒険者ならCランクでも兵士が一緒なら討伐できるかと思ったのですが、ご存知の通り、失敗しまして」
「それでもAランクにせずにCランクの数を集めてますよね?」
「ええ、Cランクで一度発注してしまうと、その案件はCランクだと言うことになってしまいまして。言葉遊びのようですが、Cランク依頼とする必要がありました。これは合計金額の問題ではなく、書類上の理由づけの問題です」
実にお役所仕事だよね。それで村が一つ滅んでるんだけど?
「ふう、文官はこれだから。書類を見て、現実を見てませんね。すでに村が一つ滅んでるんですよ?由々しき事態です。それにCランクを向かわせるなんて。これでマンティコアが怒って王都に向かったらどうするんですか?」
「その場合は王都の騎士が討伐してくれるかと」
話にならないな。そもそも俺たちには領地を守る義務はない。自国ならメアリーも参戦したかもしれないけど。
「話になりませんね。すぐにAランク依頼に変更することをお勧めします。
私たちはこれで失礼しますね」
メアリーが話を切り上げた。
俺たちは数日の間、王都のうまいものを食べ歩いていた。
すると、Cランク冒険者は村の奪還に失敗したことが発表された。冒険者も半分が死んだらしい。
子爵はCランクを倍の人数で揃えることを検討していると言う。
ギルドも流石に黙っていられなかったようで、Cランクでの依頼を拒否していると言う。当然だね。
子爵はとうとう、王都の騎士団に依頼したらしく、騎士団がマンティコアを討伐した。お金かかっただろうに。冒険者雇うより高いよ、多分。
お金をケチった挙句、大金を使うことになったね。領地がうまくいってないのに大変だね。メアリーも呆れていた。
「騎士団を頼むと冒険者の10倍は取られるのに。最初からAランクに依頼しておけば、もっと安く済んだのに残念な結果ですわ」
「優秀だと聞いていたけど、イレギュラーがあると、対応できないタイプみたいだな。代官やめさせられるんじゃないか?流石に優秀だとは言い難いだろう?」
「今までの貢献とかあるから、首にはならないかもしれないけど、今後の出世に響くわね」
村一つ滅ぼしても出世に響く程度か。この世界の貴族の権限は大きいね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます