169 北の林
殿下のお家騒動の後、俺たちは無事王都に戻って来た。
男爵は牢に入れられたとか。結果は分かっているが、縛り首ね。かわいそうに。。。自業自得だけどね。
「さあ、今日から働くぞ!」
「ご主人様、どうされたのですか?お金はまだありますが?」
「いや、いつまでもFランクじゃダメだろうから、D位まで上げておきたい。今回もFランクだからといって、ダンジョンの情報もらえなかったからな」
「それなら、リリアとメアリーと一緒に受けられてはどうですか?ランクの上がりも早いと思いますが」
「それもそうだな。メアリー、リリア、構わないか?」
「もちろんですわ」
「頑張ります」
二人の了解も取れたし、ギルドで依頼でも探そう。
ギルドで依頼を見ていた。
久しぶりに自分で探すので、ちょっと新鮮だった。Aランクに上がってからは受付で聞いてたからね。
CランクCランク、と。
探してると、メアリーが依頼表を手に取った。
「これなんかどうでしょうか?」
「どれどれ、マンティコアの討伐?どこかで聞いた話だな。ああ、行きしなか。それで何でCランクなんだ?Aランクだから諦めたと聞いていたが?」
「さあ?でもCランクで出ているのでCランクと判断したのでは?」
「話を聞いてみようか」
「それに関しては、本来はAランクなんですが、兵士と一緒に戦うことを前提にCランクになっています。王都の警備隊から兵を出してもらい、その指揮を取る形です」
「兵士の指揮を冒険者が取るんですか?」
「はい。そうしないと、依頼として成立しませんので。
冒険者が戦闘の中心戦力となるのであれば、Bランク以上、推奨はAランクとなります。しかし、実際に戦闘に参加するのが兵士なら話は別です。指揮能力があればいいので」
「そんな中途半端な依頼なんですか。そもそも兵士の指揮をとっている時点でおかしいですが、討伐の責任は誰が取るんですか?」
「そ、それは、その、冒険者かと。指揮をしているわけですし」
「それでその際の罰則は?」
「はい、依頼の失敗で、街中の掃除の強制依頼です」
「おかしいな。兵士の質はわかりませんが、兵士で倒せるなら、自分たちで倒すでしょうし。冒険者を雇う意味がわかりません」
「そこは、本来はAランクの依頼をCランクに下げるために苦労して話し合いを行いまして」
「つまり、失敗を前提にした依頼だと?」
「そこまでは言いませんが、、、」
どう考えても失敗する。兵士の質はわからないけど、勝てないと思ったから冒険者を雇うのだろう。なのに戦わなくていい?そんなバカな話はない。
戦って死ねと言うならわかるが、それだと、冒険者で勝てませんでした、と言う実績を作るだけだ。それになんの意味があるのだろう?
「メアリーどう思う?」
「ええ、実績が大事なのかと。Cランクでダメだったから上位の冒険者を雇うと言う流れにすると、予算が降りやすくなりますわ」
「なるほど、お役所仕事だな」
「2度手間になる上に、その間の村の安全を考えてない。誰だっけ?代官の名前?」
「ゴスペール子爵ですわ」
「そのゴスペール子爵が無能なのか。。。」
「そこまで言わなくても、、、」
「有能だと?」
「いえ、そうは言いませんが」
どちらにせよ、この条件なら受けれないな。俺たちに倒せる実力があるのと、この件を受けるのは別問題だ。受けたCランクは御愁傷様だな。
「他の依頼を探そう」
「了解ですわ」
今度はまともな依頼があった。オーガの討伐だ。北の林にオーガが2体住み着いたそうだ。番じゃないかとの噂で、子供が生まれる前に討伐して欲しいと言う内容だ。依頼者は国。直轄領らしいしね。騎士団動かすほどの規模でもないし。冒険者に回すのも理解できる。
よし、これにしよう。
「じゃあ、このオーガの依頼を受けるぞ」
「「はい」」
俺たちは全員で北の林に向かうと、林の奥の方にオーガを発見した。
座り込んで休憩だろうか?
俺たちはこっそり近づき、奇襲をかける。クレアとマリアが左を、メアリーの<火魔法>が右のを襲った。
クレアとマリアでは仕留めきれなかったようで、俺も後に続く。魔闘術で首を狙う。座り込んでいるので、首にも届く。首は簡単に落ちた。こんなに柔かったっけ?
メアリーの方は火を放って終わりじゃなく、継続的に燃やしていた。結構魔力を食うやり方だが、この場合は効果的だろう。他に戦う予定があれば別だが。
俺は苦しんで暴れているオーガの首を薙ぐ。あっさりと首が飛ぶ。やっぱり記憶よりも簡単に首が飛ぶ。魔力上がったからかな?
なんにせよ、オーガの皮を剥いで素材とし、討伐証明のツノを持って帰る。
「オーガの討伐完了しました」
俺が報告に行くと、受付は冷たかった。
「一緒のCランクさんは頑張ったんですね。報告ご苦労様です。こちらが報酬になります」
まるで俺がパワーレベリングされてるような対応だ。いや、誤解ですよ?俺も倒しましたよ?言わないけど。
ギルドは実力に合わないランクにいるのを嫌う。実力がないのに上級の依頼を受けられても困るからだ。なので腰巾着のようについて回るだけでランクを上げる行為、パワーレベリングを嫌うのだ。
とりあえずは誤解されていても問題ない。Dランクに上げてさえもらえれば良いのだから。
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