143 Sランク依頼 (3)
俺は馬車を乗り継ぎ、西の森についた。最後は歩きだったが。
西の森の中に入っていくと、小川が流れていた。それを見て、上流に遡っていく。多分貯水池か何かあるはずだ。
今回の件で言えば、沼地に生息していると言うことなので、川の上流はもっとも可能性の高い場所だ。
俺は<魔力感知>をしながら、<気配察知>も行っていた。蛇相手にどれだけ意味があるのか知らないが、ビットバイパー自体は魔物なので、<魔力感知>に引っかかるだろう。
上流に向かっていると、前方に大量の魔物を感知した。1キロほど先だが、今まで感じたことのない魔物だ。多分、これがビットバイパーだろう。
俺は分布を確認しながら、1匹だけ離れているのを探した。まともに相手してたらきりがない。
俺は1匹だけ離れているのを見つけ、近づいていくと、足元がぬかるんでいる。沼地に入ったようだ。
ビットバイパーの毒腺は頭の周囲にあるので、真ん中付近を吹き飛ばしたやれば良いだろう。吹き飛ばしすぎないようにしないと、毒腺ごと吹き飛ばしてしまう。
もちょっとで見えそうな場所まで近づいた時、足に激痛が走った。見ると、蛇に噛み付かれている。
まさか。<魔力感知>に反応はなかったはず。<気配察知>にも反応はなかった。
そうか、沼地か。土の中の魔力は感知できない。それと同じだ。泥の中に隠れた魔物も感知できないのだ。
だとすると、俺は周囲を囲まれている可能性が高い。俺は<火魔法>で周囲を薙ぎ払う。すると、沼地の水分が蒸発して、魔物が感知できるようになった。俺の近くにはビットバイパーだと思われるものがたくさん死んでいる。
それより外側に大量の魔物の気配を感じた。
俺は<火魔法>に100ポイントつぎ込んで周囲を焼き払う。結構な距離を焼き払えたと思うが、沼の中心地と思われる方向にはまだ沢山の反応がある。
俺は魔物の集団とは逆方向に走り出す。魔物に噛まれた足が痛む。しかし、慣れてない<神聖魔法>は瞬間的には使えない。
森の中なので、全力では走れないが、可能な限り現場から離れた。
後ろから追ってくるのも多いが、大半は残っている。血の気の多いのが獲物に飛びついたんだろう。
俺はある程度離れて、ビットバイパーの反応が少なくなってから、止まり、個別に風魔法で吹き飛ばす。出来るだけ胴体を吹き飛ばすようにする。毒腺が必要だからだ。あたりの反応がなくなって、しばらく警戒していたが、後続はないようだ。
周囲に吹き飛ばしたビットバイパーの死体が大量に転がっている。一つ一つ確認して、毒腺の残っているものを探す。3匹ほど毒腺が残っていた。
逆に言えば、それ以外はまともに吹き飛ばしてしまったことになる。俺も慌てて威力が殺しきれてなかったようだ。
危ない危ない。1匹も残ってなければ、残りのビットバイパーを倒しに行かないといけなかったところだ。それも威力を殺した攻撃で全滅させる必要がある。<火魔法>でなぎ払ってしまったら、毒腺は取れないのだから。
とにかく毒腺は確保した。ならばここに用はない。さっさと帰るべきだ。
まずは<神聖魔法>で毒を治療した。どのくらい魔力が必要かわからなかったので、100ポイント突っ込んだ。多かっただろうか?だけど、自分の命を秤に確認したいとは思わなかった。
川を下って、森の外に出る。近くの村にまで歩いて行って、そこからは馬車に便乗させてもらう。早くはないが、歩くより楽だ。
そのまま何度か乗り換えて、帝都まで戻ってきた。約束どおり2週間だ。
俺はギルドに行って、完了の報告をする。ビットバイパーの毒腺を1匹分納品する。ちゃんと白金貨2枚の報酬をもらった。2億円だ。
この後、子爵が解毒薬を作れようが作れまいが、皇族が回復しようがしまいが、俺には関係なくなる。あとは俺が口外しなければ良い。貴族からの反応は時間を置かなくてはわからない。
宿に戻ろうと思ったが、もしかして、全員高級宿にまだ止まってるんだろうか?支払いが恐ろしいんだが。。。
ここは帝都だ。当然物価も高い。その上高級宿だ。
俺は高級宿に向かい、店員に聞くと、ずっと泊まっていたそうだ。ちなみに一泊一人大銀貨5枚だった。一泊50万、合計2800万だ。いくら稼いでも足りないよ?
俺も風呂に入りたかったので、その日は高級宿に泊まったが、翌日からは中級のご飯の美味し店に移動した。一泊一人銀貨5枚、十分の1だ。
武器屋に行って、足のブーツを確認してもらったが、やはりビットバイパーの牙で穴が空いており、作りなおすしかなかった。だから帝都の物価は高いんだって。足元はしっかりとしたものを用意したかったので、作り直してもらうことにした。ブーツに大銀貨8枚は高いのか安いのか。お金の感覚がおかしくなってくる。
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