050 ワイバーン
<ステータス>をみた時に気づいたことがある。
あまり考えたくない事なので、見ないふりをしていたが、さすがに自分を誤魔化すのも限界だ。
身体lvが100に上がっていた。
魔法も全種類lv12に、<魔力操作>は17に上がっていた。
原因はだいたいわかっている。
魔力の循環の方法を変えたのだ。
魔力を循環させる事自体は同じだ。しかし、魔力の密度を上げたのだ。
魔力を循環させる速度に限界を感じて考えた事だ。
密度を上げれば、同じ速度で循環しても、何倍もの経験が得られる。
<魔力操作>が特に上がっているのもこのためだろう。
また、ステータスも999を超えた。4桁が存在したのだ。
身体lvも含めて、まだ上があるのが判明した。
つまり、まだ経験値を貯めて、lv上げをしなければいけないのだ。
冒険者ランクを上げて、高レベルの敵を倒さないと、lvが上がらないだろう。
実際、今のレベルでオークやオーガを倒しても上がる気がしない。
そういう訳で、俺は早朝から冒険者ギルドに来ている。
周りには部屋いっぱいなんじゃないかと思うほど、たくさんの冒険者たちがいる。
これには理由がある。
今日の分の依頼を午前7時に張り出すのだ。
より良い依頼を受けるため、みんな必死だ。ある意味早起きで健康的かもしれない。
依頼が張り出された。
他の冒険者たちが殺到する。
依頼は早い者勝ちだ。当然、それは俺が目をつけてたんだぞ、とか、二人で依頼表を引っ張り合い、破けてしまったり、めちゃくちゃだ。
俺にはあの中は無理だ。テンションについていけない。
せっかく早起きしてきたが、残り物の依頼を受けることになりそうだ。
30分ほどすると、だいぶ落ち着き出し、依頼表を持った冒険者たちが受付に並ぶ。
代わりに空いた掲示板を物色する。
一つ目を引いた依頼があった。
北の山のワイバーンの巣を殲滅、Cランク以上、合計50人まで。参加で銀貨1枚、追加で素材の販売金などの一部を分配。騎士団との合同依頼。
受付で聞くと、北の山にワイバーンが巣を作ったらしい。
毎年、この時期に渡ってくるので、ワイバーン好みの場所なのかもしれない。
騎士団と合同で行う作戦で、人数も多いことから、比較的安全なのもあり、人気が高いらしい。
実際、今回の依頼も50人の枠は既に埋まっているとか。
ちょっと気になったので、聞いてみる。
「例えばですよ?
例えば、その巣のそばをある冒険者が通りがかり、襲われたので、返り討ちにしたりした場合どうなりますか?」
「特にどうもないですね。素材を売っていただければありがたいですかね。
作戦自体は不発になりますが、銀貨1枚は手に入りますので、それほど問題にはならないでしょう。
まぁ、ワイバーンの巣を少数で倒せればの話ですが」
俺は安心した。。。倒してしまっても問題ないらしい。。。
俺、確認したからね?後でなんか言われても受け付けないよ?
俺はその足で、北の山に向かった。
通常は馬車や荷車を仕立てて向かうらしいが、俺一人なら、走ったほうが早い。
2時間ほど走ると、山の麓にたどり着いた。
そこで、<魔力感知>の距離を広げた。思ったより距離が広がってびっくりした。
おそらく、循環の密度を上げたせいだろう。
これは、後で初級魔法の威力の検証も必要だな。
とりあえず、風の刃の魔法を空中にはなってみる。結構強いのが出たが、使えないほどではない。もう少し使う魔力を減らせば初級とごまかせるレベルになるだろう。
俺の<魔力感知>には、山の上の方に30匹ほどの魔力を捉えた。
オークやオーガよりも反応が大きいので、ワイバーンで間違い無いだろう。
俺はまっすぐに巣に向かう。
100メートルくらいまで近づくと、ワイバーンが3匹襲ってきた。
風の初級魔術?を3重起動して、3頭の首を狩る。
死体は<インベントリ>に放り込む。
そのまま進み、巣のあることろを目視できる位置まできた。
目で見えれば問題ない。
俺は十分に集中し、27重起動した風の刃を放つ。
ワイバーンの首が落ちた。
俺は近づいて、生き残りがいないことを確認すると、全ての死体を<インベントリ>に収納した。
俺はきた道を迂回しながら戻る。
ワイバーンの討伐隊とバッティングしないためだ。
3時間ほどのんびり歩いていると、騎士団と冒険者の集団が見えた。北の山に向かっているようだ。
ごめんね。既に美味しくいただきました。
集団をやり過ごしてから、王都に戻った。
冒険者ギルドに向かうと、受付は朝に相談した女性が一人で受付を行っていた。
「すいません、ワイバーンを狩ってきたのですが、どうすれば良いでしょうか?」
「え、討伐隊は数時間前に出たばかりのはずですが?」
「いえ、討伐隊には参加していません。
偶然通りかかったら、ワイバーンに襲われまして。返り討ちにしたんです」
それを聞いて、受付嬢は朝の問答を思い出したようだ。
「まさか?!
一人で倒されたんですか?」
「もちろん、そうですよ」
「しばらくお待ちください!」
受付嬢は、他の係員に代わってもらい、2階への階段を駆け上っていった。
しばらくして、背の高い、引き締まった体をした50代くらいの男性を連れて戻ってきた。
「やぁ、君がワイバーンを単独討伐したという冒険者か。
討伐証明はできるかね?」
「はい、解体して持ってきています」
「すまないが見せてもらえるかな」
「わかりました。多いので、別室でも構いませんか?」
「それなら、解体場にしよう。あそこなら広いからね」
俺は解体場で、ワイバーンの頭を30体分出す。
「他の素材も確認しますか?」
「いや、十分だ。
ただ、依頼での討伐じゃないので、報酬は出ないよ?」
「問題ありません。ただの報告ですので」
「あぁ、ただ、君のランクはCだったね。
君は今日からAランクだ。
単独でワイバーンを30体倒せるものをCランクにしておいてはギルドの損失だ」
ワイバーンを倒すだけでランクが上がるらしい。
報酬の良い依頼が受けれるので、断る理由はない。
俺は、ワイバーンの頭を回収してギルドをでた。
今日は久しぶりに外出したし、良い気分だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます