028


冒険者ギルドの受付のキャシーさん。

俺はずっとこの人にお世話になっている。

そこで、王都で買ったリボンをお土産に渡した。


「え、私にですか?」


「はい、普段お世話になってますので。

王都で流行りのリボンだそうですよ」


「あの、ギルドの受付嬢はこういったものを貰う訳にいかないのですが。。。」


「たかがリボンですよ?高価なものでもないし、大丈夫でしょう」


遠慮しながらではあるが、受け取ってもらえた。

普段からお世話になっているし、ちょっとでも恩返しができたのなら喜ばしい。




俺たちはひたすらオークの討伐を受けまくった。

Dランクで報酬と危険度を考えた時に一番割りが良いのだ。


オーク3匹以上。1体大銅貨3枚。上限なし。魔石は銅貨8枚。

さらに肉は1体分で銅貨4枚になる。全部合わせれば、銅貨42枚だ。


宿屋が個室なら一泊大銅貨8枚だが、4人部屋を3人で使っているので、大銅貨20枚にまけてもらっている。銅貨にして200枚。

オークにして、約5匹分だ。


毎日北の森に出かけ、オークを狩る。

前はマジックバッグに入りきらなかったので、<インベントリ>に入れていたが、今のマジックバッグは容量が大きいので全部入る。

大体1日に20匹くらい狩れる。


冒険者ランクがCに上がるまではオークを狩り続けるつもりだ。



一月くらい経った頃、俺は二人に言った。


「今日は二人だけで戦ってもらう。

俺は後ろで見ているだけだ。

危なくなったら助けてやるから、頑張ってこい」


この一月で、俺の身体lvは83まで上がっていた。

<剣術>もlv9、<気配察知>や<隠密>も上がっている。

さらに<調合>などもやっているので、それも上がっている。

訓練場で槍の練習も始めた。


そうそう、<鑑定>で見える内容が変わった。lv10になった時に、HPやMPが見えるようになったのだ。

魔法の練習時に魔力を1ポイントだけ使って、という方法が取れたのもこのおかげだ。

見れるなら、HP???とかが普通だよね?lv10特典とかあるのだろうか。


色々と手を出しているので、二人で狩りができるのなら、しばらく任せてしまって、スキルのレベル上げに専念しても良いかと思ったのだ。

槍以外にの盾や弓などにも手を出したいし、魔法の手加減も覚えたい。


「今日のノルマは15匹だ。


では開始!」


二人は周りを警戒しながら、森の奥へ進んでいく。

俺の<魔力感知>ではどこにどの魔物がいるかハッキリと分かっているが、あえて二人に任せる。


二人は真っ直ぐに歩かず、蛇行するように移動する。

聞くと、<気配察知>の範囲を広げるためだそうだ。

っていうか、クレア、<気配察知>取得したんだ。いつの間に。


二人は危なげなくオークを倒していく。

毎日来てるけど、オークが減った感じはしない。どこから湧いてくるのだろう。

同時に5体までなら二人で対応できるようだ。

はぐれは、そんなに大きな群れにならないので、十分だ。


2−3日繰り返して、問題ないようなら、二人だけでlv上げをしてもらおう。




3日経った。

二人とも全く問題なくオークを狩れている。

時々出てくるゴブリンは瞬殺だ。

冒険者ランクでいうと、Cランクの上位くらいになるだろう。

ただ、マリアは短剣を使っているせいか、決定力に欠ける。

オーク程度なら良いが、硬い魔物が出るときは注意が必要だろう。


「この3日で、お前たちが二人でも十分に戦えるのが分かった。

お前たちには、このままオークと戦って、身体lv上げを続けてもらいたい。

俺は訓練場で槍や盾の訓練だ」


「あの、私たち捨てられるんでしょうか?」


マリアが不安そうにいう。


「何馬鹿なこと言ってるんだ。

お前たちには強くなって、俺の横に立って戦っても遜色ないlvまで上がってきてほしいんだ。

今のままだと、オーク以上の強敵、例えばオーガなどを相手にすると、負けてしまうだろう。

なので、とりあえずはオークで身体lvを上げて、そのあとは一緒にオーガやミノタウロスなどを狩りに行きたい」


「なるほど、ご主人様の横に立つには我々は弱いということだな。

よし、ご主人様を守れるほどに強くなろう」


「そうですね。私たちはオークが倒せることで満足してしまっていました。

ご主人様の隣にいるには実力不足ですものね。

頑張って精進します」


「無理だけはするなよ?

時間はあるんだ、ペースを守ってな?」


「はい、ご心配ありがとうございます」


「とりあえず今日はこれで終わりだ。

クレア、このあと訓練場で槍を教えてくれ。

一人でやっていても、正しいのかわからん」


「もちろんです、ご主人様。

私の知る限りのことをお教えしましょう」


クレアがやる気だ。

俺もついていけるように頑張らないと。


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