026
翌朝、朝食の席でこれからの予定を話し合っていたのだが、この場にクレアとマリアはいない。
昨日、予想通りに酔いつぶれていたので、部屋に運んでやったのだが、まだ起きてこないのだ。
<解毒>でもかけてやれば起きるかもしれないが、酒は飲んでも飲まれるな、を教えるためにも放っておくことにした。
「昨日の夕方に冒険者ギルドに護衛依頼を出しました。
Dランク以上で6−8名です。出発は明後日。
先日は盗賊に襲われましたが、父上に手紙も出してありますし、もう出ないでしょう。
それ以外なら、はぐれオークやゴブリンがでる程度でしょうから十分かと」
「やっぱりあの盗賊はイレギュラーだったのですね。
他の魔物は出ないのですか?」
「はい、街道の近くは騎士団の演習も兼ねて、定期的に討伐されてますので、こないだのようなはぐれが出るくらいです」
実は俺は、盗賊のアジトにあった手紙のことをリリア様に伝えてない。
盗賊のアジトを襲ったこと自体を伝えてないからだ。
帰ってから伯爵に直接伝えるつもりだ。
「ところでリリア様、この王都の名前はなんと言うのでしょうか?」
「はい???王都の名前ですか?ザパンと言います。
今までご存じなかったのですか?」
「えぇ、みんな王都としか言わないので」
「もしかして、オーユゴック領も。。。」
「はい、街の名前は知りません」
「ふぅ、、、領都の名前はロービスです。
オーユゴックで二ヶ月以上住んでいたのに知らなかったとは驚きですわ」
俺の無知を肴に朝食を取り終える。
宿にお願いして、おかゆの様なものを用意してもらい、部屋に戻る。
「そろそろ起きろー、朝だぞー」
二人とも起きてはいる様だが、まだ布団に寝転がっている。
「ご主人様申し訳ありません、頭が痛くて吐き気がします」
「私もだ」
「冷たい果実水と、オートミールを用意してもらったぞ。
ましになったら食っておけ。
それと、オーユゴックに戻るのは明後日に決まったからな」
俺は言うことだけ言って、部屋を出る。
今日はこれから土産物を買いに行くのだ。
まずは、昨日も寄った、カフェである。
ケーキをホールで売ってもらった。
何種類もあったので、買えるだけ買った。
次は雑貨屋だ。それも貴族街に近い方の。
マジックバッグの容量が足りないので、新しいのが欲しかったのだ。
リリア様と一緒だとお金の出どころを怪しまれるので、一緒の時は買えなかったのだ。
部屋一つ分のサイズで、大金貨8枚だ。オーユゴックの雑貨屋より高いが、新品の様だ。
盗賊のアジトから頂いた金で問題なく買える。
それから商人街で酒を買った。
よくあるワインから、珍しいワイン、蒸留酒など。
小樽で買えるだけ買った。
それから職人街に向かった。
屋台の様な建物で売っているところを覗いて、良いものを探す。
銀細工の良いものが見つかった。
作ってもらった剣も受け取らないと。
最後は食料品屋だ。
新鮮な野菜や果物、パンやワイバーン肉などを買う。
これらは<インベントリ>行きだ。
さすが王都だけあって、品揃えも量も豊富だ。
買えるだけ買っておこう。
宿に戻ると、さすがに二人とも起き出していて、昨夜の事を謝ってきた。
俺は気にするなと言った上で、今後は飲み過ぎるなよと注意しておいた。
二人には改めて、明後日出発が決まった事を伝えた。
部屋に戻ってから、マリアに渡してあるマジックバッグを出させ、中身を全部出させた。
下着なども入っていたので、出てきた時は真っ赤になって、すぐに隠していた。
それから大きいサイズのマジックバッグを買ったのを伝え、今まで入っていたものの他に、入りきらずに俺のアイテムボックスに入れていたのも入れさせた。
小さいマジックボックスは俺が<インベントリ>隠匿に使う。
普段着や武器などはこちらに入れておく。
まぁ、<インベントリ>にもそこそこ入っているのだが。
翌日の夕方、夕食を食べていると、リリア様が話しかけてきた。
「ジン様、実は護衛の冒険者の応募がなくて困っていまして。。。」
「なるほど、なら、その依頼は俺たちが受けましょう。
リリア様の従者と護衛は直接依頼ですので、被ってもギルド的に問題ありません。
さらに言えば、はぐれオークくらいなら冒険者がいなくても問題ありません」
「それは確かにそうなんですが。。。」
リリア様は俺たちに二重に護衛を受けさせるのをためらっている様だ。
「別に受けようと受けなかろうと、やることは一緒です。
なら、受けて報酬を受け取った方が得と言うものです。
明日の朝になっても受けてがいなければ、俺たちが受注してきます」
「わかりました。それでお願いします」
翌朝になっても受けてがいなかったので、俺たちが依頼を受けた。
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