スキルを極めろ!

ラセル

001


白い空間。

曖昧な記憶。


自分は何をしていたのだったか。。。

確かコンビニに買い物に出て、、、ホットコーヒーを買った後、店の前でタバコを吸いながら飲んでいたら、急に足元が光って。。。

だめだ、これ以上思い出せない。


あれ?

自分の名前なんだっけ?

北海道の田舎で生まれる。良し。

性別は男。良し。

年齢は21。良し。

両親は中学の頃に雪崩に巻き込まれて死亡。これも良し。

高校まで地元で過ごし、大学は都会へ。これも良し。

専門は工学部。これも良し。

趣味はラノベの読書。これも良し。

住んでいたのは、、、どっかの安アパート。詳しくは思い出せない。よく無し。

名前は、、、わからん。よく無し。


ふむ、全部思い出せないわけじゃないか。。。


取り敢えず、ここはどこだ?

前も後ろも白。

角が見えないから、部屋の中ではないらしい。

白一辺倒だと時間感覚が狂うな。


どのくらい経ったのか分からないが、いつの間にか前に白ひげの爺さんが立っていた。

目を離した覚えはなかったが、時間感覚がおかしいので自信はない。


「フォッフォッフォッ」

なんか仙人みいな笑い方だ。

「落ち着いたかね?」

そんな訳ないだろうに。

説明プリーズ。


「お主の読んでいたラノベ?という本で言う所の召喚じゃな」

「あれ?声に出してた?」

「フォッフォッ、顔にでちょるぞ」

ありゃ、分かり易かったらしい。

ポーカーフェイスは得意だった、、、気がするけど自信がない。

少なくとも今バレバレなら意味ないわな。


「説明の続きよいかのう?」

「お願いします」


「召喚についてだが、勇者召喚とかではないのぅ。世界が召喚したんじゃが、わしが召喚したと言った方が分かりやすいか。

ちょっと手伝ってもらおうかと思って、条件に合う魂を探しておったら、コンビニ前でひとり寂しくコーヒーを飲んでるのを見つけてな。ちょっと来てもらった次第じゃ」


勝手に呼ばないでほしい。。。

読みかけのラノベやコミック。録画してあるアニメ。ベッドの下にある買ったばかりのエロビデオ。ログアウトしてないレベル上げ中のMMORPG。

他にもやりたい事いっぱいあるんだけど。。。

後、なんで自分の事が思い出せないのかも説明プリーズ。


「よかろう。行ってもらう世界で自分のことを覚えておると、魂に不具合が生じる場合があっての。一時的に忘れてもらった訳じゃ」

「もしかして、心を読みました?」

「うむ。こう見えてもわしは神の一柱じゃからの。創造神をやっておる」

「それって神様のトップでは?」

「うむ、そう考えてもらって大丈夫じゃ」


なんかえらい神様に選ばれたらしい。


「それで俺に何をさせようと?神様自身が召喚する理由が想像できませんが」


「うむ、先ほども言った通り、手伝ってもらいたい事があるのじゃ」

「俺である必要は感じませんので、他の人を当たってください」

「手伝ってくれたら、元の世界、元の時間に戻すつもりじゃ。。。手伝ってくれたらのう。。。」


手伝わないと戻す気はないと、、、立派な脅迫だ。

自分である必要がわからない。特に人と違った事をした覚えは無いけど。。。

記憶がないだけかな。ちょっと自信ないけど。

いや、流されちゃダメだ。

何とか今すぐ戻してもらわないと、厄介事の匂いがプンプンしてる。


「手伝ってくれたらのう。。。」


ダメだ。心読まれてるんだった。

でも、、、

「今すぐ帰してください」

言ってみた。


「手伝ってくれたらのう。。。」


「あの、他の人では。。。」

「条件に合った魂は他にみつからなんだ。お主しかおらんのじゃ。今なら俺TUEEEEもできる特典付きじゃぞ?ラノベの主人公並みに色々できるぞい」


むぅ、厨二心をくすぐる提案だ。

正直惹かれてる自分がいる。


「色々と特典も付くのにのう。時間がなくなったらそれも出来なくなるのう」

「やります!」


おっと、つい乗ってしまった。

だけどまぁ、手伝いが終わったら元の時間に戻れるらしいし、いいかな?いいよね?


「うむ、では異世界へどうぞ」

「待った!特典決めてないし、何やるかも聞いてない!」

「おお、そうじゃったな。忘れておったわい。うむ、このまま転移させると、何のために魂を探したか分からん事になっておったわ」


「それで一体何をすれば?」

「うむ、わしの世界で生活してもらいたい」

「は?えっと、それに魂が関係してるのですか?」

「いや、ただ住むのではなく、スキルなどを鍛えてもらいたい」


ふむ、スキルが特典だと思っていたが、違うらしい。

大器晩成型の特典だろうか?

いや、鍛えると言うからには、レベル上げが必要なのだろう。

それって特典じゃないよね?


「お主には、スキルや能力値の限界を調べてほしいのじゃ」


おっと、何か聞きなれない話が出てきた。限界?

創造神なら自分で作った世界のはず。なぜ知らないんだろう。


「わしは限界を設定してないのじゃが、実際にはスキルLv10すら成るものがいないのが現状じゃ。もう数万年経つが、超えるものがおらん。

 そこでお主には、実際にスキルや能力値を上げて、限界を調べてほしいのじゃ。果たして本当に限界があるのかどうか。限界があるのなら、どこまでか。

 無論上げやすい様に、実際に世界にある才能系の能力はすべて与える。他にも必要な能力は与えよう」


おっと、特典的なものが出てきたぞ。

いや、具体的な言葉が出てきてないから、油断は禁物だ。


「どんな能力が貰えるのでしょうか?」


「うむ。魔法の素質。武の素質。各種魔法適正あたりかの。あぁ、わしの加護も与えよう」


冗談じゃない。

ほとんど自力で上げる必要があるじゃないか。


「経験値100倍とかは?」

「スキルの検証の邪魔になる可能性があるからダメじゃの」

「最初からわかっているLv10スタートとか。。。」

「同じく検証に障る可能性があるのでダメじゃの。過程も大事じゃからの」

「じゃぁ、せめて巨大な魔力とか。。。」


随分と話し込んで細かい事を決めた。

何日かかかったんじゃないだろうか。

最初に時間が、、、とか言ってたのに、大丈夫だろうか。


とにかく必要そうなものや、欲しいもの(これ重要)を限界まで詰め込んだ。

魂の容量とかの問題で全部と言う訳にはいかなかったけど。

異世界で生きていける程度には揃えたはず。


「では、頼むぞい」


意識がなくなった。。。


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