消ゴム
まっさらでまっしろ。
これ以上に白い物を私は知らないというべき白さのそれは長方形の形を取り、少し飛び出る頭を残して4方向をカバーで包んでいた。
その角は艶かしい程の尖りを見せ、汚したいけど汚したくないという二律背反を有していた。
その誘惑の角は計8つもある。
それだけあれば少しくらいは……と脆弱な心の隙をついてみたくなる。
もしくはだ、角ではなく角と角を結ぶ線……これを妥協して使うだろうか。
しかしそれは当人は妥協だと思っていても角と角を結んでいる限り、角は消費されてしまうのだ。
自己の無意識による欠落ほど苦悩を味合う物はない。
であれば最初から意を決しておくべきであった。
そう考える人もいるだろう。
今はまだ、フィルムに包まれ純潔を保っている。
いつかその純潔を奪ってしまったとしても、最後までかの蠱惑魔を愛してあげて。
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