外世町と心層探偵
さくさく
プロローグ
ある日、テレビから速報が流れた。
お茶の間に流れる、バラエティー番組を押しのけ、気の緩め切っていた人々を緊張の渦へたたき落とした。
突然、重々しく流れるテロップ。
国の総理大臣がゆっくりと歩き、マイクの置かれた台の前に着く。
息をのみ、緊張が走る中、こう彼は話した。
「魔法、妖怪、妖精、俗に言うオカルトの類は実在する。」
エイプリルフールの冗談にも聞こえたその情報。
呆然とする視聴者、ペンが止まる記者たち、ざわめきだす人々。
理解できない、訳が分からない、何を言っているんだ?
しかし、このような文句は次に出てくる男の行動によってすべてなくなった。
スーツ姿の男。
サングラスをかけ、無表情で黒上の何も特徴のない男。
彼が手を上げるとその指につけた指輪は輝きだし、手の上には炎が舞い上がる。
現実に見たことのない光景。
これが実在するといった正体。
そして、偉い人は苦虫を嚙み潰したよう顔でその言葉を出す。
「
心層
魔法、呪い、気孔、科学的には存在しない「力」の根源で生き物の身体を血液のように巡っている。
心層は人の思い、感情、想像、言わば心情に作用して物体化、現象化する。
太古の人間はこれを用いて、生活を豊かにしていった。
しかし、これを起こすには大量の心層が必要とし雨を降らせるだけで、人を殺め体の内にある心層で起こすなど、コストがかかるものだった。
政府はこの事を裏で隠蔽し、表舞台に出さないようにしていたが、近年日本、ひいては世界中で、怪奇現象が起き始め、とうとう隠すことができないと悟った政府は公表することを決定いた。
突然の事に国民は戸惑い、啞然とする。
今までの常識は、世の中が全てのひっくり返る、その瞬間を目にしたのだ。
この日から非科学的な報道が起きるのに時間はかからなかった。
連日、報道される怪現象には、あまりにも現実離れした現象を映し出した。
宙を浮き犯罪を行う人間、妖怪が人々の生活を脅かすその映像はSF映画を彷彿とさせた。ただただ、身近に起きてしまう現象に人々はその存在を信じるしかなくなった。
同時に前例のない事件、事故は警察では全く歯が立たず、被害者まで出る始末だった。
人々は、外には妖怪や怪物がいる、心層を操る人は何をしてくるかわからない。
いつしか、「わけのわからない」という恐怖は人々を蝕み、隣人を疑い、住処を疑い、人を疑った。
家からは出ず、通勤や通学だけでも、まるで凶器を持った人物がいるのと同様の緊張とストレスはいつしか集合し、また新しいバケモノを生む。
バケモノは昼夜問わず現れ、人々により深い恐怖を与えた。
悪循環が成り立ち始めた。
日本政府はこの事態に収集をつけるべく「
心層探偵は心層を用いて事件を解決する者達で、彼らは正に心層事件のプロフェッショナルだった。
時に陰陽師、時に気孔士、心層には心層を。
彼らの働きにより事件は次々と解決され、次第に心層探偵は社会には必要不可欠なものになっていた。
それと同時に人々にとって心層事件は畏怖でありながら頼らなければならない対象にもなっていた。
それから十年後。
ここ、
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