ショコラミントとストロベリー

樹真一

第1話

 午前11時にチャイムが鳴って、俺は惰眠から叩き起こされた。

 起きて気が付いたが、全身汗だくだ。無理もない。冷房はタイマーでとっくの昔に息を引き取っていた。

 じっとりと湿っているベッドから降りて、Tシャツを脱いでタンクトップに着替える。足で踏むようにして扇風機のスイッチを入れて、ワンルームと廊下を仕切るドアを開けながらエアコンのリモコンを操作した。ぶもも、というかび臭い駆動音を聞きながら、三歩で歩き終わる廊下を越えて、玄関のドアを開けた。はずみで、立てかけていた傘が倒れた。


「は、はい、どなたですか?」傘を追い掛けながらなので、本当の意味で俺は誰何を問う。それに答えるように、白くてつるつるでひんやりした何かが、右の肩胛骨のあたりに押し付けられた。

「うわっ!」


 一瞬、ヘビの死体を連想してしまった俺は、体をよじって「それ」から逃れる。「それ」は本当にヘビの死体なのか、あるいは持ち主が飽きてしまったのか、俺のことを追い掛けては来なかった。その代わり傘はばしゃんと倒れて、そしてそれを拾う俺の背中に、男にしては高い、特徴的な声が笑いかけてきた。

「あっははは、しーちゃん、驚きすぎじゃん、あはは!」

「香月~……」俺は傘を拾い、改めてそれを壁に立てかける。「人の安眠を妨害して、楽しいのかよ、お前は!」

 あっははと笑うのは、同じクラスの高崎たかさき香月かづきだった。俺の部屋を知っていて、わざわざ尋ねてくるような物好きは、香月だけだ。


「アイス買ってきたよ。寝てたの? 汗すごいよ?」

「……エアコン切ってたんだよ」

「親になんか言われる?」

「いや……けど、寝てる間つけておくのは、もったいないだろ?」

「さすがしーちゃん、真っ面目~」


 へらへらと笑いながら、香月はサンダルを脱いでさっさと部屋に上がり込む。俺は色々言いたいことがあったけれど、それらをぐっと、青汁でも飲むように無理矢理喉の奥に流し込んでから、脱ぎ散らかされた香月のサンダルを揃えておいた。

 俺はため息を吐きながら、ワンルームに戻る。ベッドの向かい側、本棚代わりにしているカラーボックスの横に、早速香月は座り込んでいる。ソファじゃなく、ソファとカラーボックスの間に座りたがる気持ちが、俺にはよく分からない。


「アイス買ってきたよー」香月はもう一度言う。「そのコンビニ袋の中」


 見れば、ベッドとカラーボックスに挟まれるようにして、高校の教科書やら夏休みの課題やら、あとは俺の読んでいる雑誌やらが載っているオシャレ(だった)ガラステーブルの上に、セブンイレブンのビニール袋が置かれていた。すでに汗をかいているそれに、冷たいものが入っているのは道理だ。きっとさっき、俺に押し付けた「それ」の正体は、これだろう。

 まったく驚かせやがって、高い方をもらってやると思って袋からアイスを取り出してみると、それはハーゲンダッツのストロベリーとショコラミントが入っていた。


「……あんまりいいアイス買ってくるなよ、困る」

「え?」香月が、きょとんとして言う。「しーちゃん、アイス好きじゃん?」

「そうじゃなくってさ……」俺は期間限定のショコラミントを弄びながら答えた。「借りが大きくなる、みたいなさ……分かるだろ?」

「ああ、そういうことか」香月はこみ上げてくる笑いを堪えるような笑顔だ。「いいよ。オレが、しーちゃんに食べて欲しくて買ったんだから」


 それにバイト代も入ったばかりだし、と付け加えられると、俺はもうなにも言い返せない。降参の意味のため息を吐いて、香月に向かってアイスを突き出す。


「どっち食べる?」

「じゃ、ストロベリー」


 レジに向かう時点で決めていたであろう答え。俺も、予想できていた答え。思わず噴き出しながら、香月にストロベリーを差し出した。


「さんきゅ~」


 受け取って、そして食べはせずに、スマホを持っていじり始める。別に自分の部屋でできることじゃないのか、とは思ったけれど、別にそれをなじるのも大人げないかと思って、俺はアイスを食べながら、読みかけの文庫本を開く。人生ははじめから義務観念で私をしめつけた……そんなに、難しく考える必要はないと思うのだけれど。

 不意に、


 ――リンロン


 と、わざとらしい音が流れた。俺は文庫本から顔を上げる。俺のスマホじゃなく、どうやら香月の通知音のようだった。


「あっ……と、通知切ってなかった……」


 集中しているのか、香月は悪態を吐いただけで、ゲームを続けている。そんなにいいところなのかと思ったけれど、聞こえてくる音の感じでは、別に難しそうな場面でもない。指も緩やかに画面をタッチしているばかりだ。


 ――リンロン

  ――リンロン

   ――リンロン


 通知が、鳴りまくっている。俺は見かねて言ってやる。


「おいおい、シカトするなよ」

「んー……別にいいよ」


 言いながら、香月はスマホを操作する。ふと、通知音が静かになった。通知をOFFにしたのだろうか。

 香月は無言で、ゲームを続けている。どういうつもりなのか計れず、俺はじっと香月を見詰めてしまった。その視線に気付いているのかいないのか、相変わらず香月は、スマホに向かって無心で指を動かしている。

 その、無表情な瞳。以前によく見たことのある目だ。俺と……親しくなる前の、目だ。





 高崎香月との初対面を、俺は記憶していない。

 それほど印象の薄い――正確に言うなら、目立たないように息を潜めていたのが、高崎香月というクラスメイトだった。

 背は平均、痩せ形、成績は可もなく不可もなく――そういう、ものすごく目立たないヤツだった。そして俺はぼんやりと、コイツは目立たないようにしている、学校の中で気配を消そうとしていると、そう思っていた。

 それが確信に変わったのは、2年生の5月の半ば……ようやく教室の中に波立っていた真新しさが薄れて、新しい関係を作り始めるくらいの、そんな時期だった。

 俺の学校には、クラス対抗スポーツ会というイベントがあり、平たく言えば、某かの球技などを通じてクラスの団結を図るという、体育会系的思想に基づいたものだった。

 体育会のような本気さもなく、かと言ってどうせだから楽しみたいという思惑も入り交じり、結果として割とグダグダな対戦が組まれることの多いこの行事で、しかしうちのクラスはどうも体育会系が集まってしまったらしく、本気でやろうという風潮があった。

 俺は運動は人並みだし、参謀のようなポジションをこなせるわけでもない(そもそも戦力外として、練習用の壁くらいにしか認識されていなかった)ので、当日はほとんど役割もなかったのだが、クラスに集まった運動が得意な面々の活躍もあり、俺たちのクラスは見事優勝を飾ることとなった。


 俺は、基本的に一人を好む。とはいえ、学校というのは社会の縮図というのはよく言ったもので、高校に進学するのに合わせて、誰に教わったわけでもないのに、周囲に合わせるための《テンション》だとか《笑い方》だとかが分かるようになっていた。

 それが正しいかどうかは分からないけれど、少なくとも学校生活には適応できる。だから俺は、大して面白くもない、あるいはまったく面白くないクラスのお調子者の冗談に爆笑するようにしていたし、自覚的に彼らの輪に収まっていようと努めていた。


 そんな俺を嘲笑うかのような無表情で見上げていたのが、高崎香月だった。

 不思議な目だった。深い深い涸れ井戸のようにも見えるし、同時に空に浮かんだ月にも見える。つまり、人のものじゃないような目だった。俺はぞくりとしながら、そして同時に、やはり人のものじゃない、風景でも見るようにじっと見詰めてしまっていた。

 俺にはあの時、高崎香月が何を考えているのか微塵も分からなかったけれど、それはひょっとすると、高崎香月から見た俺も、同じように何を考えているのか分からなかったんじゃないだろうか。それを探るために、お互いの瞳をじっと覗き込む必要があったんじゃないだろうか。


 深海に放り込まれたような息苦しさの中、一体何秒の間見つめ合っていたのか、俺はよく覚えていない。ふと気が付くと、まるで海面から差し込む青い日差しのように、香月の微笑みが俺の脳裏に突き刺さっていた。

 俺が息を吹き返して、改めて香月の姿を探す。が、もうあの笑っていた香月はどこかに消えてしまったようで、高崎香月はつまらなそうに少年マンガ誌のページをめくっているだけだった。





 トゥラントゥラン、とメロディが流れる。メールの着信音だ。ゲームを邪魔されたらしく、香月はちぇっと舌打ちしながら、タッチパネルを操作している。おそらく受信メールを開いたのだろう、ゆっくりと画面をスクロールさせて……


「はぁ……」


 ため息を吐いた。たたた、と指を素早く動かして、メール画面を閉じる。またゲームを再開するような雰囲気だったので、俺は思わず声をかけてしまった。


「あのさ、香月……」

「え?」

「メール、来てたんだろ? LINEもシカトして、メールも無視とか……」

「いいよ、別に。期待させるなんて、アレでしょ?」


 ああ、そういうことか。

 俺は納得し、そして同時に、納得いかない気持ちになった。

 香月は、女にモテる。顔も整っているし、周りの男子と群れない辺りも、クールで大人っぽいと思われている。だがそれも、遠巻きにきゃいきゃいと言われるばかりで、親しくする相手は男女問わずほどんどいないから、いわゆる高嶺の花ってヤツだ。


「けど、せっかく女子の方から積極的にコミュ取りにきてんだからさ。最低限反応してやれよ。不誠実じゃないか、そういうの?」


 ぎろり、と。

 香月に突然、睨まれた……ような、気がした。


「…………」


 いや、相変わらず、何を考えているのかをこちらに悟らせない、無表情な瞳。その視線に俺は、背骨が震えるような恐怖を感じた。ぞわりと、背中に汗が浮かぶのを感じる。

 ――香月が俺のことを見ていた時間は、せいぜいが数秒だろう。けれど俺には、それが数時間にも感じられた。

 香月は、ふっと笑った。周囲の時間がまた流れ出す。窓の向こうからセミの鳴き声が聞こえてきた。夏の音だ。


「そうだね、しーちゃんの言う通りだ」


 香月は笑いながら言った。アプリを終了して、電話画面を立ち上げる。なんだ、電話番号は知ってるのか、と複雑な気持ちになる。いや、相手の女子が押し付けるように登録したのかも知れない。そしてその真相を聞き出すのが……俺は、怖い。

 香月は、耳にスマホを押し当てる。ほとんど待たずに、相手が電話に出た様子だった。


「あ、もしもし? 斉藤さん?」


 斉藤というと、同じクラスの物静かな女子だ。自分から告白なんてしそうにない相手だったから、少し意外だった。なるほど、相当の勇気を振り絞ったに違いない。

 二三会話をしてから、香月は唐突に本題を切り出した。


「ごめん、オレ、君とは付き合えないよ」


 洞穴に石を放り込むような、感情のない言葉だった。俺が電話しているわけではないのに、斉藤さんがぐっと押し黙ったのがなぜか感じられた。香月は続ける。


「斉藤さんが嫌いってわけじゃないよ。すごいいい子だと思うし……図書館で話した時もすげー楽しかったし。でも……オレ、他に好きな人がいるから」


 香月は、俺に視線を向ける。


「だから、付き合えないし、付き合いたくない。ごめんね」


 香月は、斉藤さんの言葉に耳を傾ける。少し、困ったように眉を顰めた。それからふとスマホから耳を離し、画面を操作する。


『高崎くん?』


 スピーカーモードに切り替えたのか、突然、くぐもった斉藤さんの声が聞こえてきた。どういうつもりだと、俺は香月を睨む。けれど香月は、それに気付いたのか気が付かなかったのか、会話を続けた。


「ごめん、もう一回言ってくれる?」

『……だから、それでも、好きでいてもいい?』


 それでも……香月に好きな人がいて付き合うことができない、という前提でも、まだ好きでいていいのか、ということか? なんだろう、斉藤さんがすごく、痛々しく感じられた。

 香月を好きになってもしょうがない――女子なんだったら、なおさらのことだ。

 香月はため息を吐いた。


「それは、構わないけど……っていうか、オレがどうこう言う筋合いないし。斉藤さんの感情を、オレが好き勝手いじくれるわけじゃないんだしさ」

『そう言われれば、そうかも……』

「けど、それでいいと思うんだよね。人が人を好きって思う感情ってさ、よく『想いが通じる』とか言うけど、違うと思う。もっと一方通行なもんじゃないかな、好きって気持ちは。で、たまたまお互いにそれを受け入れたっていうだけで、通じることって難しいと思うよ」

『うーん……ちょっと分からない、かな……』

「好きでいるのは自由でいいって言いたいの。それ以上、何かを求めないんだったらさ」

『一緒にいたいとか、付き合いたいとか、ってこと?』

「そうそう。斉藤さんが、オレのこと好きでいるのは、別に構わないし、どうしようもないし、ただ単純に、それを受け入れることができないってだけ」

『……分かった。分からないけど、分かりたいと思う。好きでいるのは、構わないわけでしょ?』

「そういうこと」


 香月の言うことに、斉藤さんは納得した……のだろうか。いや、納得というよりは、妥協したように思える。好きになってもらうことは、今のところは諦めたような、そんなため息が聞こえてきた。


『とりあえず付き合ってみる、ってのも、ナシ?』

「なし。言ったじゃん、付き合うのはダメだって」

『あは、やっぱりね……』

「……斉藤さん、案外肉食なんだね」

『初めて言われたけどね』


 俺も、そう思った。ポジティブというか、恋人未満で付き合ってみて、好きにならせるつもりだったんだろう。もちろん、香月には拒まれたわけだけど。


『ねえ、高崎くん。高崎くんの好きな人って、どんな人?』


 ばくり、と俺の心臓が震えた。見ると、香月は色々な感情を押し殺したような無表情で、俺のことを見ていた。

 じわり、とセミが鳴く。


「……真面目な、人だね」

『真面目……同じクラス?』

「……そう、だね」

『……付き合ってる?』

「…………まだ」


 斉藤さんも黙る。香月と斉藤さんと、そしてそれを聞いている俺……三人の間に、沈黙が降りた。ややあって、


『その人に、気持ちは受け入れてもらえそう?』


 斉藤さんが聞いた。香月は、俺のことを見上げる。


「……どうかな。でも、近くにいることは、許してもらってる」


 俺の心臓が、たぶん、騒いだと思う。

 スマホ越しに、斉藤さんのため息が聞こえた気がした。なるほど、普通なら、香月の答えは《友達以上恋人未満》の存在を示唆するようなものだ。斉藤さんのため息――落胆も、納得できようというものだった。


『そっか……幸せになってね……』


 そう言う斉藤さんの声は、なんだか妙に大人っぽく聞こえてしまい、なんだか普段の教室で、テッド・チャンや天童荒太を読んでいる女子とは、違う人物のように思えてしまうのだった。香月は、不意を突かれたように笑う。


「ほら、やっぱりいい子だ」

『、ありがと、また学校で』


 それだけを素早く言って、斉藤さんは電話を切った。まるで…………泣きそうなのを、堪えるように。

 つーつー、という電子音が流れて、そして、すぐに途絶えた。スマホは無粋だなと、場違いなことを考えた。

 香月は、スマホを仕舞った。それからふうと疲れたようなため息を吐いて、俺に向き直る。相変わらずの黒い瞳が、俺をじっと見上げていた。

 その目を見て、俺はようやく、理解できた。


 ――俺のことを、責めているんだ。


 はっきりと言葉にしないだけで、今日一日の行動や、斉藤さんへの言葉の端々に、俺への当てつけが、含まれていた。


「…………」

「…………」


 俺は、何も言えない。今さらになって気付いて、何を言えばいいのか分からなかった。

 香月はしばらく、俺のことをじっと見上げていた。しかし、ややあってから、再びスマホを取り出す。画面を操作して、ゲームアプリを起動させた。俺にはもう、目を向けようともしない。


「――俺は、」口から、言葉が飛び出した。「拒絶は、してないからな」


 てぃむん、と失敗音が聞こえてきた。俺は自分でも驚きながら、言葉を続けた。


「……とまどっては、いるけど。だって、男に告白されたの、初めてだし、さ……」


 それ以前に、女子から告白されたことも、なかった。だから、俺に対してちゃんと好きだという言葉を伝えたのは――香月が、最初だった。


「どうすればいいか、分からないんだよ……おまえ、俺のこと好きだって言ったっきり……なんにも求めてこないから。俺、どうしたらいいか、分からない……」


 好きだと言われた。俺は、うまく答えられなかった。その日から香月は、ほとんど俺の部屋に来るようになっていた。

 さっき香月が斉藤さんに言った、「拒絶されてない」とは、きっとこのことだろう。じゃあ、俺が来るなと言ったら、来なくなるんだろうか? ほぼ毎日……夏休みになってからは、一日も欠かさずに俺に会いに来ていた香月は、俺が一言「もう来るな」と言えば、来なくなってしまうんだろうか?

 そう考えて、胸が苦しくなった。背中から細い紐で、心臓を括り殺されそうになるような苦しさだった。

 俺は、気が付くと俯いてしまっていた。胸が痛い。呼吸が浅い。誰かを想うだけで、その相手との関係が終わると想像しただけで、こんなにも苦しいのなら、これはもう、まごう事なき恋なんじゃないかと、俺は思った。


「しーちゃん」


 はっとして顔を上げると、そこには香月が立っていた。瞳には、俺が映っていた。心細そうな、捨てられた子犬のような、俺が。


「しーちゃん……」


 香月の手が、俺に触れる。頬から耳に、そして首筋に。ぞわぞわと肌が粟立つのを感じる。……全然、嫌な感じはしなかった。


「か、づき……」


 口の中が粘付くのを感じた。うまく声が出ない。

 香月は、はっとしたように目を見開いて、そして、力なく笑った。


「いいよ」そして、今度はにっこりと笑う。「今は、それでいいよ」


 ゆるゆると、心地よい夢が醒めていくように、香月の手が俺から離れていった。最後に名残惜しげに俺の頬に触れていた人差し指が離れて、俺は息を吹き返した。

 何を言えばいいのか、分からない。香月はそんな俺を見て、もう一度にっこりと笑った。


「しーちゃん、アイス食べよう」


 部屋の真ん中、テーブルの上で、香月が買ってきたハーゲンダッツが二つ、並んで汗をかいていた。俺は迷わず、ストロベリーを手に取った。蓋を開けていると、あっと香月が声を上げる。


「いいだろ、別に」


 どうしてだろう、無性に意地悪なことをしたくなったのだ。


「今度は、俺が奢ってやるからさ」


 香月は、恨めしそうに俺のことをしばらく見ていた。けれど、俺がアイスを譲るつもりがないと気が付くと、「あーあ」と聞こえよがしに言いながら、ショコラミントを手に取った。ストロベリーは、じんわりと口の中に拡がって溶けていった。


                              END

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