第17話 その動機は唐突に

その動機は唐突に、どこからかやってくる。


私は受験生。勉強をする者。

好きな分野を極めるため、大学を目指す者。


そのために、今の私に足りないものは、学力と生活力と体力と…

とにかく、総合的にいろいろ足りない。


そんな欠陥品な私だけれど、最近になって受験勉強に熱が入り始めた。


そもそも私にとって、勉強とは「わかれば楽しい」部類のものだった。

その答えを導ける理屈がわかればとっても楽しいけれど、理屈のわからないものはもはや嫌いになる。

そんなこともあって、暗記教科が嫌いなのはそのせいだということにしている。実際暗記系は選択していない。苦手だから。

物理と化学と地理を選択した理系(できるとはいってない)だ。


数学と物理と化学と英語と古典、現代文の評論もだけれど、これは理屈でできていると思っている。

理屈さえ理解できれば、もう怖くない。

包丁でリンゴを剥くみたいに、やり方が理解できていれば簡単だから。


…今は理解できてなくて解けてないけどね。

頑張っているよ、ここ3日くらいは。

継続、できると思う。やる気の火が未だ消えないから。

新しい理屈を知る時間を、このまま日常ルーティンに組み込んじゃえば、こっちの勝ち。


実験や証明によって示された公式を道具として使って、文の組立方式をマニュアルにして、覚えた単語を素材にして。

そこから自分で組み立てる。恐れることはない。至れり尽くせり、道具も説明書も揃ってる。

あとは自分の能力次第だ。説明書を読めるか、適切な素材を用意できるか、道具を正しく使えるか。問題はそこだけだ。


説明書の見方とか素材集めとか、道具の使い方とか。そういうのを学ぶのが今やる「勉強」。

学んだそれらで何かを組み立てて作るのが、今後やりたいと思ってる「研究」。


そう考えた。

今の私の引き出しには、ほとんど何も入ってない。だから素材と道具とマニュアルを揃えて入れていく。そのために勉強をする。

つまりそういうことでしょ?


…ということで。


帰ってすぐ、机に数学問題集を広げる。

どの道具が足りないのか確認するためだ。

しばらくして、単語集を開く。

色んな素材を知るためだ。

最後に、英語や古典の文法参考書。

これはマニュアル。大まかに覚えていきたいものである。


最近の私は、人が変わったように勤勉になったと思う。

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