8 趣味
「母ちゃん、母ちゃん。ただいま~」
「ヨッ、おかえり~! どうだ、失恋の傷は
「な、なんのこと? それよりボク、シュミ始めた」
「趣味だと? フラれた彼女を忘れるためか? ま、趣味にのめり込めば、そのうち忘れるさな。で、どんな趣味だ」
「ショウギ」
「将棋だと? あの、♪吹けば飛ぶよな将棋の駒に~、の将棋か?」
「歌は知らないけど、吹けば飛ぶかも」
「じじいみたいな趣味だな。そのうち盆栽も始めんじゃないの? あの、飛車とか角さんの将棋だろ?」
「そう。いま、小学生に人気があるんだぁ」
「けど、難しいんだろ? 斜めにしか進めないとか、ピョンと飛び越えられるピョン吉とか」
「ううん、それほどでもない。集中力だけ」
「集中力だあ? かっけー。男はそう来なくちゃな。恋にも仕事にも集中するってぇのはカッコいいもんだ」
「ボク、まだ小学生だから、コイにも仕事にもエンがないけどね」
「子供のころから
「よくわかんないけど、集中して、策を練ってみるよ。じゃあね」
「ああ。策士、策に溺れるなよ」
「……うん、わかった」
「かーちゃん、かーちゃん。にーちゃんにかった~」
「何を?」
「ショーギ」
「将棋だと? あの、♪吹けば飛ぶよな将棋の駒に~、の将棋か?」
「うたはしらないけど、ショーギ」
「何、おまえも将棋できるの?」
「うん、できる」
「できるって、あの、金とか銀とか銅とかの将棋だよ」
「わかんないけど、できるもん」
「マジでっ? も、もしかして天才
「うん」
ミシミシ!(母ちゃんが階段を上がる音)
「……なんだ、
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