Mega Lover―女装男子はお好きですか?―
名古屋ゆりあ
かわいい幼なじみ
試着室のカーテンが開いて、そこから1人の人物が出てきた。
「どう、これ?
かわいいでしょ」
得意気に扇子を振ってハイトーンボイスで尋ねてきたその人は、青いロングのチャイナドレスを身につけていた。
スリットから見えるその美脚は、女の私から見てもキレイだと思った。
「うん、かわいいよ。
よく似合ってる」
どこかの芸人よろしく、試着室のカーテンからひょっこりと顔だけ出した私は答えた。
「めあり、ノリが悪いー」
その人は黒髪ボブのウィッグを揺らし、頬をふくらませた。
顔立ちが顔立ちと言うこともあってか、とても様になっている。
本当に女なんじゃないかと信じてしまいそうになる。
「だって、巴は何を着ても何をさせても似合ってるもん」
私が言ったら、
「そう言ってるめありも似合うと俺は思うんだけどなあ」
その人――巴はそう言って、私の手を引っ張った。
「えっ、ちょっと…!」
力ではかなわない。
私は巴に引っ張られるように試着室から出た。
「ほら、かわいい」
巴と一緒に鏡の前に並ばされた私の格好は、赤のチャイナドレスである。
巴が身につけているチャイナドレスと違うのは、私のは膝上のミニであると言うことである。
「…やっぱり、恥ずかしいよ」
この年齢になってミニは、自分でもキツいものがある。
「そんなことないよ、とても似合ってるよ。
“20歳です”って言っても、誰も疑わないよ」
「に、20歳って…」
私も巴も26歳、世間的にも社会的にも立派な大人である。
「こうして見ると、仲良し姉妹みたい」
鏡の前で得意気にポーズをしながら、巴は言った。
「姉妹とか姉妹じゃない以前に、巴は男だよね?」
彼に気づかれないように、私は呟いた。
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