異世界研究会と時間溯行同好会の仁義なき戦い

売才三

第1話 激嵐学園

隼人団三(はやと・だんぞう)。

今日から激嵐学園(げきらんがくえん)に入学する予定の学生です。


激嵐学園の特徴は、異世界との交流が活発する中で、全世界で一番早く異世界人を受け入れる体制を整えた教育機関であります。


異世界人と交換留学生として、こちらの人間も積極的に異世界とのコミュニケーションを保ち、「異世界友好条約」が結ばれました。


特に、激嵐学園の「異世界研究会」が異世界に対する評価が世界No.1です。


具体的には、「漫画・ライトノベルの世界」のキャラクターを現実世界に招く実験に成功しました。


二次元キャラの三次元への召喚です。それに対抗して、「時間溯行同好会」は、アニメキャラをテレビの中から連れてくるという暴挙に出ました。


現実世界だと、いわゆる「拉致問題」として犯罪行為になりますが、特例の人物のみ交流が許されています。


中学時代に野球部だった団三は、激嵐学園でもスポーツ系の部活に入る予定です。


「行ってきまーす」


団三の第一声です。慣れ親しんだ家を出て、新生活の始まりです。


「おはよう、団三」

隣の家から、制服を着た美少女が現れました。黒髪をミディアムに整えたクールビューティー。胸の膨らみは申し訳程度の主張をしている、おしとやかな女性です。


「おはよう、陽華」


彼女は密月陽華(みつづき・ひばな)。団三の隣の家に住む同期生の幼なじみで、なんと誕生日も1日違いです。


「ふふっ」

「どうした?陽華」

「だって、普段は冴えない団三が、新しい制服を着ているだけで逞しく見えるもの」

「そういう陽華も制服、似合ってるよ」

「ありがとう。ふふっ、団三のそういうところ、好きよ」

「お、おう///」

「照れてる。かわいい」



団三の顔が完熟トマトのように真っ赤になりました。陽華は団三のことが大好きで、いまだに「将来の夢は団三のお嫁さん」と言って周囲を憚りません。


2人は一緒に並んで、新しい学園生活に向かいました。

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