『龍ケ崎』VS『凛』②


振り下ろした刀が凛の体に当たり大ダメージをくらわす、のと同時に発射された銃弾が龍ケ崎の心臓目掛けて発射される。

それをかわそうと体を傾け急所を外すが体力が半分以上削られる大ダメージをくらった。しかし、そんな攻撃にも動揺する事なく龍ケ崎は手を伸ばし凛の体に触れた。

「マジック 『テレポート』」

龍ヶ崎が大きく叫んぶと次の瞬間には二人は空中にいた。

「テレポート」つまり瞬間移動は触れたものを自分の思った場所へと瞬間的に移動させることができるのだが、これは少し特殊で、自らの体重よりも重いものはテレポートできないというものだ。

下を見ると立ち並ぶビルの群れが小さく見える。下からの強烈な風が龍ケ崎と凛、両者に強く打ち付ける。

「ちょ、ちょっとこれって一体」

突然の出来事で困惑する凛とは裏腹に龍ケ崎は必死にバランスを取りながら饒舌に説明をする。

「おまえの機動力はずば抜けている、それに関して俺はかなわないだろう。だけど、こうすればお前のずば抜けた能力だって使えないはずだ」

バランスを取るのさえ難しい上空、龍ヶ崎は落下しながら真下の凜に向けて銃弾を放った。

 瞬間、凜の体力ゲージは空っぽになり勝負は決した。

「私の負けか、残念だなもう少しだったのに」

凛の顔はふてくされた子供のように頬を膨らませる。それを見て龍ケ崎は照れたように言う。

「でもまあ、実際かなりやばかったわけだし。腕上げたんだな」

凛は膨らませていた頬を緩ませると目の前の『Re: Rights』のリーダーを見つめた。

「かなわないね、先輩には」

負けたことの悔しいさより、相手のことが誇らしかった。凜はこの人のクラン、仲間でいることが誇らしいと心のそこから思った。

しかし、凛には一つ龍ケ崎に聞きたいことが

「それで、これどうやって降りるの?」

龍ケ崎は不意を突かれたように言葉に詰まった。この高さから落ち地面へと叩きつけられれば即死は間違いない。龍ケ崎の顔を見て凛は恐る恐る聞く

「もしかして、考えてなかったわけ」

凛の言葉に龍ケ崎は笑うことしかできなかった。まったくその通りだったからだ

「嘘でしょ」

地面が近づいて来たことを再確認すると話し込んでいる間にかなり近づいていた。

そんな時、龍ケ崎のホログラム上にあの顔が出てきた

「今助けてやるからそのまま待ってろ」

言葉と同時に真下から銃声聞こえた、同時に龍ケ崎と凛は二人まとめて網の中に押し込められ吊り下げられた。

「この武器すごいな、こんな距離でもちゃんと届くんだな」

鴉野は言いながらビルとビルの間に縄を張りその中央に龍ケ崎と凛を捕まえた網を吊り下げた。

「おい、鴉野早く下ろせ」

龍ケ崎は真下にいる鴉野に怒鳴りつけた。

「はいよ」

鴉野はそう言うと手にしたハンドガンで網のつなぎ目を撃つ、編みの縫い目が裂け二人は地面に思いっきり尻餅をついた。

「二人共、どうだ久々のタイマン勝負は」

鴉野は地面で臀部を摩る二人を見て余裕綽々に質問する。その姿に龍ケ崎は手にしたハンドガンの銃口を顎に突き刺す

「お前、わざと俺と凛が鉢合わせるようにしただろ。おかげでこっちは大変な目にあったんだぞ」

「おいおい、龍ケ崎お前は誤解してる。俺はチームの絆を深めるためにだな」

「そんなの後付けの理由だろ」

「いや、でもなお前の戦いの間に俺が動いて事で物は手に入ったてのも事実だ」

ヒソヒソ声で龍ケ崎に言う鴉野は落ち着き払って向けられた銃口を覗く。その時、今だ臀部をさすりながら凛が近づいてきて二人に声をかける。

「まあまあ、そんなに怒らなくても、実際、絆は深まったんじゃない?」

照れたように表情をして龍ケ崎と鴉野を見る。凛の言うとおり絆が深まった、といえばそうなのだが。龍ケ崎はメンバー二人の顔を見比べるとため息を混じりにハンドガンをホルスターにしまう。

「わかったよ、俺だってやる気はもう無いしな」

龍ケ崎は目の前の二人に言った。

「もう疲れたから帰ろう」

ゲームの世界において疲れは不要なものだが、それは肉体的な話だ。戦いというのは集中力をこれでもかという程使う。つまり精神的な負担というのは強い者を相手にすればする程大きい。

しかも、龍ケ崎は体質上、人よりも集中力をかなり使う。その為、足元はふらつき今にも倒れそうだった。

「悪いがちょっと手を貸してくれ」

龍ケ崎が腕を伸ばして助けを求める前に鴉野は自身の肩に龍ケ崎の腕を回した。

「いつもいつも無茶しすぎなんだよお前は」

「こっちは素直にやられるわけにもいかなかったんだよ」

そう言って後ろにいる凛を見つめる。偶発的な戦いだったけど久々に戦ってみて仲間の成長を実感できた。

「リーダーが負けていたんじゃ顔が立たないしな」


1vs1

WIN『龍ヶ崎』

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