fight!
龍ケ崎は両腕で顔を隠しガラスの破片から身を守ると腕の隙間から相手を見据える。
飛びかかってきた凛は龍ケ崎から僅かに距離をおき見事に着地を決めると龍ケ崎の方へと顔を向けた。
ガラス片が音を立て今も振りそそぐ中、その凛々しい顔から覗かせるのは殺意だった。
「ハンドガン M19m4」
凛が口に出すと手元には銃が姿を現し服装は戦闘服になった。そしてそれを流れるように銃口を龍ケ崎に向けると有無を言わさない素早い行動、それはまさにトッププレイヤーと呼べるものがある
「おい、ちょっとまて落ち着け...」
続きを言う前に引き金は引かれた。銃弾は龍ケ崎の顔のすぐ近くを抜け壁へと突き刺さった。
その瞬間、龍ケ崎の頭の中に思いついたのは逃げるという文字だけだった。
目の前に立ちふさがる凛がまたしても引き金を引こうとした瞬間、龍ケ崎は後ろではなく凛に向かって走り出した。
自分の予想とは反した行動に凛は驚き龍ケ崎に向けられていた銃は宙に発砲された。
それを見計らったように凛に向かって再び走る。それを見て冷静を取り戻した凛は銃口は再度龍ケ崎へと向けると儒弾を放つ。
それと同時にまたはそれより先に龍ケ崎はジャンプした。
ゲーム世界は現実世界よりも運動能力が上がる、人一人くらいなら余裕で超えられることができる。龍ケ崎はそのまま路地裏を抜けると大通りへと出た。
人混みの中に紛れ込めば見つけるのに時間がかかるだろう。龍ケ崎はホログラムを呼び出し鴉野を呼び出した。
「おい、どうなってんだ凛はお前のところに行ったんじゃないのか」
ホログラムに映し出された鴉野は慌てるような素振りはせずいつものおどけた口調で
「いや、それが逃げてたら偶然お前の方に行ってたみたいでさ」
「お前、わざと俺のところに来るように誘導しただろ」
言われた本人は何事も起こっていないような口ぶりで笑ってみせた。
龍ケ崎は鴉野と会話をしながら人の波の中を走っていると不意に開けた場所へと出たが自身の気づかないうちに赤信号の交差点に飛び出したようでその中心に凛がいた。
「待ち伏せされてたか」
行動の速さと敵がどこに来るかの予測力はさすがというべきか、龍ケ崎は鴉野との会話を切って凛に言った。
「久しぶりだな、こうして向き合うのも」
もしかしたら初めて対戦した時以来かも知れない。凛は先程までの怒った表情ではなく面白そうに言った。
「そうだね、せっかくだし腕慣らしでもしない?」
凛は手に握ったハンドガンの引き金に手をかける。龍ケ崎の問答なんて関係なく凛はやる気だった。
それを見て龍ヶ崎も諦め、一息吐いて言い放つ。
「わかった」
言葉の続きは向き合う両者の声だった。
「「コール」」
これは『コール』と呼ばれ、タイマン試合を行う際は準備が整い戦闘態勢に入った相手に伝えることで不意打ちを無くすこういうゲームでは昔からあるシステムだ。このコールを両者が行えば試合が始まる。
そして今、秋葉原の中心でタイマン試合が行われる。道路を埋め尽くすほどいた人の群れは消え、巨大なテレビ画面には対戦をしている名前が書かれていた。
1vs1
『Re: Rights』龍ケ崎vs『Re: Rights』凛
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