女子大生と音楽と
新川 雪華
フロントメモリー/鈴木瑛美子・亀田誠治
月は6月、新学期が始まって2ヶ月、終わりまで1ヶ月。
今日も今日とて課題と部活に勤しんでいる一人の女子大生です。
今年の春はあまりに短く、桜を愛でる前に過ぎ去ってしまった感が否めませんが、夏がちょっと早く遊んで欲しそうにしているようなので仕方なく夏物の服をタンスから出し始めています。私の住んでいる地域は比較的涼しいので、雨の日なんかは閉まってしまったパーカーが恋しくもなるほどですが。
さて、夏といえば、青空!青春!海!アイス!エアコン!ゲーム(?)!なイメージがあります。イメージからご察ししていただける気がしますが、私はインドア派なので、海でキャピキャピするより、車から眺めたいタイプです。海は好きですが、水着着て一夏の思い出!とはなかなか思えないのです。小学生や中学生の頃の女子大生のイメージはそんな感じだったので、あのころの私に少しだけ申し訳なく思います。
そんな感じで天気のいい日でも外で日向ぼっこするわけではなく、室内でウトウトする日々が日常の私ですが、そんなときは音楽を流してうとうとします。その日は、たまには新しいものを聴きたくなって、Youtubeのプレイリストを適当に流していました。そうして、この曲と出会いました。
「フロントメモリー」
元々は神聖かまってちゃんの曲ですが、映画の主題歌になった際に、アレンジされて鈴木瑛美子さんの歌で出された形になっています。爽やかなピアノサウンドから始まり、キラキラしたシンセやストリングスの重なりが立体感を持たせます。さらに歌詞の「頑張れないよ」が心にグサグサと刺さってきて、気づいたら泣いていました。疲れていたのでしょうか。初めは私もよくわからず、ただただ呆然と天井を見ていました。
夏の曲というと、恋したい!や青春しようぜ!という曲が多い気がします。しかし、私が好きなのはそんなキラキラしたものからはかけ離れた夕暮れの少し涼しくなってきた頃の風の匂いなのです。どうしようもない劣等感や孤独感、自己嫌悪に苛まれながらも、ふとした瞬間の空白の時間が途方もなく愛おしいのです。
フロントメモリーの歌詞は驚くくらい私にすとんと落ちてきて馴染んでいきました。たまにこういう感覚はあるのですが、あまりに久々すぎて衝撃が大きく、そのあと、10回以上はリピートしました。最後の方は口ずさみながら聴きました。
明るかった空が夕焼けの色に染まる頃、起き上がり窓を閉めて、勉強を再開しました。頑張れないけど、やる気はないけど、自分を騙しながらでもいいから、ちょっとだけ進もう。そして、疲れたらアイスを食べよう。そう思いながら。
夏の暑さや明るさに疲れたら、ただただ風を感じたり、空白の時間に浸るのも一興ではないでしょうか。そこに好きな音楽があれば、それは無駄ではなく、必要な時間になるのでしょう。
私の夏はこれからですが、きっと頑張ることもなく、暑さに耐えながら日々を過ごすのでしょう。アイスを食べながら、たまには外に出るのもいいかもしれません。それでいいんだと思います。気張らず、無理せず、そうやって過ごすことができれば、今年の夏は満点ということにします。
エッセイというものを今回初めて書きましたが、これは誰かのためではなく、自分のために書いているようなものかもしれません。あの時の感覚を少しでも覚えておけるように。音楽との出会いは一瞬でその感覚も一瞬です。音楽を愛している自分が好きだからこそ、今日も音楽を聴きながら拙い文章でそれを記録します。
NO MUSIC NO LIFE
素晴らしいキャッチコピーですし、私自身そのものでもあると感じます。
今日も明日も私らしい音楽に出会えますように。
女子大生と音楽と、夏の一コマでした。
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