君が僕と果てるまで 【第1部 完】
蘭野 裕
プロローグ 同じ夢
恋い焦がれたひとが、目の前にいる。どうにかなりそうなほど顔が近い。
ローラ。会いたかったよ、ローラ。
心酔わせる美貌の、黄昏の空のような紫色の瞳に、僕だけが映る。
僕の片目にいまなお生々しく残る傷。それはローラが僕に施した刻印。僕が存在する限りずっと付き合うものであり、ローラと僕をどんなに離れても繋ぐものだ。
ローラの長い黒髪が落ちかかり、僕の肩あたりを優しく撫でた。
「…………! ……」
何か言っている。ああ、もっと君の声をよく聞かせてくれ。
白い頬に触れようとする。手が届きそうになったところで、視界がぼやけて歪み、愛しい姿はかき消えた。
また同じ夢だ。これは僕の身に起きたこと。これより古い記憶はない。
僕は、ローラを探している。再会したら、彼女の命ある限り側にいて守り続けたい。掟など知ったことか。
ローラは、生きたいと望んだ。そして僕が辿り着つくのを待っているに違いないのだから。
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