また会える日まで

勝利だギューちゃん

第1話

中学卒業と同時に、僕は生まれ育った村を離れた。

とても、ド田舎だ。

アラレちゃんの、ペンギン村みたいな感じといえば、わかりやすいかな・・・


そのために、村人全員が顔見知りで、仲がいい。


そのためか、引っ越し当日に、村人全員で、駅まで見送りに来てくれた。


「元気でね」

「たまには、遊びにきなよ

「いつまでも、友達だよ」


いろいろな言葉をかけられる。


「ほら、瑞奈(みずな)、こっち来て」

柱の陰に、瑞奈が隠れていた、


立花瑞奈。


同級生の女の子。


学校は幼稚園から高校まで、一環のひとつしかない。

クラスは、ひとつずつ。


つまり、いつも同じメンバーだ。


その中で、瑞奈とはとても仲が良かった。


「・・・、何て言っていいのかわからないけど・・・」

普段は強気だが、最後にもじもじする。


世に言う、ツンデレだな。


「わかってるよ。瑞奈。また、会おう」

「うん、また会える日まで、私の気持ちは取っておく」


かたい握手をして、別れた。


やがて、別れの時が来る。

僕は、列車に飛び乗った。


村人たちは、最後まで手を振ってくれた。


僕の引っ越し先は、都会ではない。

むしろ田舎だ。

この村よりも、もっとド田舎。


もっと自然の豊かな、きれいな空気のところで、

生活することになった。

静養のために・・・


上手くやって行けるだろうか・・・


いろいろと餞別をもらったが、一番は瑞奈の笑顔だな。

なんて、くさいセリフを口にする。


数年後、僕はかつて住んでいたあの村に行った。

出戻りではない。

ただの、帰郷だ。


駅に降りると、さすがに、少しだけ発展していた。

でも、村民の温かさは、変わらなかった。


村人全員で、出迎えてくれた。


「どうしてわかったの?知らせてないのに」

「わしらは家族みたいなものだ。息子のことはわかる」

もっともだ。

それが、嬉しくなった。


でも、瑞奈はいない・・・

やはりな・・・


そうだ、学校へ行ってみよう。


少し変わっていた。

購買部が出来ていた。


それだけだけど・・・


「出来たばかりだけどね」

後ろから声がする。

この声は、瑞奈?


「久しぶりだね」

「ああ、元気だった?」

「うん、・・・も、元気そうだね」


時間が、タイムスリップした気がした。


「あの時の約束をはたすね」

「約束?」

「今度、会った時に取っていた私の気持ちを伝えるといこと・・・」


僕は、固まってしまった。


「・・・は、草食系だから、自分からは言えないよね?」

反論出来ない。


「私の気持ちは・・・」

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また会える日まで 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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