第11話 異世界の風邪に違いない
吉野開希、享年二十一歳。
顔面的にも頭脳的にもスペック的にも最強の、剣や魔法の師匠をうっかり「ローラン先生」と呼んだことで社会的に死亡。
……本気で恥ずかしいんですけど……。
いやさ、ほら……なんかさ、頭の中で考えてたことをうっかり口に出しちゃうことって……あるよね…………。
沈黙やめて!!!
謝ろう……もう色々と謝ろう……。
「あの……ローランさ」ん、すみませんでした。
言いかけてローランさんの方を見たとき、思わず口の動きが止まったし何なら呼吸も止まった気がする。
顔を真っ赤にしたままこちらを見るローランさんが、なんて言うか……すごく……。
あれ、何これ何これ、何で顔熱くなってくるの? あっローランさんの顔が赤いのもしかして風邪? それで風邪が伝染って私の顔も熱くなってきてるってあぁ風邪だとしたら伝染るの早すぎるか、でも異世界だから風邪だとかのあれも色々違うのかもしれないしもうよく分かんないけどいつも冷静なのに急に赤面になるローランさんが全部悪い!!!
頭の
「す、みません……少し失礼致します」
早足でローランさんが去っていくのを見て、もうちょっとあの顔を見ていたかったな、なんて、思うのは何で?
「……大丈夫か?」
急にかけられた声に心臓が飛び跳ねて声として出る。
「ずぁっ!?
どっでっどぅあっ、大丈夫です!!」
「大丈夫じゃなさそうだな……。
何にせよ、ここに他の女がいなくて良かった……」
「それは全力で同意します」
ローランさん、怖いわ……。
心の中で女たらし師匠と呼ぼうか一瞬悩んだけど、もしもそれを口に出したら今度こそ本当にやばそうなのでやめておいた。
……それにしても、だ。
「ローランさんは何故あんなに真っ赤になったんでしょうか……?」
謎だ。
「……そりゃあ好いた女に先生って言われちゃ男としては……なぁ」
……?
「どういう意味ですか?」
「……あー……。
分かりやすく言えば、ロマンってやつだ」
???
どゆこと?
「もしあの顔を一緒に旅をしている途中でされて周りの人に見られたら一緒にいる私多分刺されますよね……」
「いや、それはねぇだろ」
え、何で?
割と確信をもって言ったんだけど……。
「あの完璧人間がお前を守りきれないっつー想像が出来ないからな……」
……そういうことですか。
「というかローランさんは本当に私のことが好きなんですかね?
出会って数秒で求婚されたのでちょっと実感が湧いてないというか信じられないというか……」
だってイケメンだよ?
私みたいな極☆BONJINに一目惚れとかあると思う? いや、ない。
イケメンに一目惚れされるなんてのは漫画の中だけなんだよ。
現実だったら99%結婚詐欺だよ。
「もうなんかローランのやつ色々と大変だな」
「何で私ロキシィさんに可哀想なものを見る目で見られてるんですかね」
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