第4話 カミサマトウトイ

 もう嫌だ。

 もっと分かりやすく言おう。

 もう既に勇者をやるのが嫌になっている。


 だってステータスもスキルも酷くない!?!?

 効果使い方名前全部そこそこ酷いよ! ああああああああぁぁぁぁぁ……。


 荒ぶった心のHPを回復させるために、私は泣きそうになりながらイケメンを見やった。


 ストレートの、首にギリギリ届くくらいの灰色の髪はねずみ色とはとても呼べない、銀に見間違うほどの美しさ。

 瞳の深紅は吸い込まれるような_____いや、私の語彙でそんな説明の仕方をしてもきちんとイケメンレベルを伝えられないだろうから簡単に二単語ふたたんごで言おう。


 イケメン。

 尊い。


 仮にそれ以上単語を使えるのならイマドキのJKがよく使っている『エモい』とか『ヤバい』とか『まんじ』とかそんなもんである。

 何故かって? 顔が良すぎるからだ!!!!! 


 さてこのままではイケメンの顔の良さを語り続けて終了になってしまうので本題にもどr「先ほど愛を伝えたばかりの男のことを無防備にもそんな風にまじまじと見つめると、愛を受け入れたと勘違いしてしまいますよ?」

「スミマセン目を逸らします!」


 やっべぇずっと見つめてたわ。

 え? イケメンなんだから別に付き合えばいいだろって? 

 いやいやいやいやいや。

 あなたはピカソのゲルニカ好きですか? 

 え、そんなに好きじゃない? 

 そうか私は結構好きだ。

 でもゲルニカと付き合おうとは思わないでしょ!? 

 そういうことだ! 

 中身をあんまり知らないイケメンは自分の中で観賞用にしかならないっていうか……。

 顔がいいだけで選ぶと後が怖いじゃん! 

 もし付き合うとしてももっと性格とか分かってからかな。


 とまぁそれはともかく。


「とりあえず一回神様呼んでみましょうか。

 もしかしたら来て下さる可能性も無きにしもあらずなので」


 ……あっ、でもそうするとにあのセリフを言わなきゃいけないのか……。はぁ。


「確かにそうですね。

 呼んでみましょうか」


 ……言うかぁ。


「カミサマトウトイ」


 そう呟くように言うと、目の前がパッと光り____! 

 紙が、落ちてきた。


 その『カミ』じゃないよ……。

 しかしよくよく見てみると紙に何か書いてある。なになに? 


『感情がこもってない。

 もっと心の中で誉めたたえながら言って。感情を込めて』


 注文!!! 

 我儘お嬢様か! 


「神様尊い!」


 また光り……! 


『もっと』


 クソがっ!!! 


「神様尊いなぁ! 

 とってもとっても尊い! 

 もう文面から尊さ滲み出てるわ!! 

 うっわ尊っ!」

「うん知ってた」

「っ▽▼&§&▲◆※#◆◎#□#★!?」


 目の前に突然見知らぬ女の……子? うん、15,6歳くらいに見える女の子がいたら誰だってこうなると思うんですよ……。


「っ、ええと……貴女は……?」


 そう訊いてくれたのはローランさん。ありがとう。


「よくぞ訊いてくれたね! 

 アイムゴッド! 

 しかも初代神様!! 

 偉いよ!」

「……神様って、初代とかあるんですかぁ」


 うふふ、もうどうにでもなぁれ☆


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