第2話 ステータスっ!

「とりあえず落ち着きませんか???」

「私は至極冷静です」

「あっ、さいですか」


 どうしよう話になりそうにないよ……。でも許せちゃう。イケメンってお得なんだなぁ。


 ……あ。電撃過ぎるプロポーズで大分薄れてたけど、この人勇者召喚で~とか何とか言ってたような気がするんですけど。気のせいかな。


「えっと、ローラン? さん? でしたよね? 

 勇者召喚で呼び出したって……?」


 いやあらかた予想はついてるけど。

『そのネタいい加減飽きたわ~』って言われるレベルでテンプレにも程がある感じだったし。……この人以外。


「初対面からファーストネームとは恐悦至極でご褒美ですありがとうございます」


 うっわやらかした。そうか、この国(世界?)では下の名前を先に言うのが普通なのか。

 ……でも今更ソルシエさんって呼び方変えたらこの人滅茶苦茶沈みそうだなぁ。

 うん。まぁ喜んでるし下の名前呼びのままでいっか。


「あぁ、勇者召喚の話でしたね。

 はい、貴女はこの世界の魔王を打ち倒す救世主としてこちらに呼び出されました。

 つまり勇者に選ばれたのです。

 勿論旅には私もついていきますのでご安心を」


 なるほど、やっぱりありがちなやつかぁ。

 こういうのってありすぎてもう多分皆『あー異世界召喚+勇者モノそういうやつね。はいはい』って思い始めるよ? 大丈夫? 

 だってテンプレ過ぎて私、自分の身に起こったのに『うわ、ありがち~』って思っちゃってるもん。テンプレ過ぎて驚きもしないし現実味もないからね。

 ……ってあれ? 


「……えっ、ローランさんもついてくるんですか?」


 物凄く目に優しい旅ですね。

 それだけでテンプレでも生きていけるよ。


「だめ……ですか?」


 ▼こうか は ばつぐんだ!! 


 あーざーとっ!!! 

 でも可愛いなちくしょうドストライクな顔しやがってありがとう! 


「だめじゃないです眼福旅ですありがとうございます!!」


 なかばヤケクソでそう言ってすぐ、気づく。

 あれ、そういえば召喚特典とかってあるのかな? 


「……そういえば、ローランさんが知っているかは分からないんですけど召喚されたことで……こう、特殊能力が貰えるとかってありますか?」

「はい、ございますよ。

 世界の壁を超えるときに神が救世主に加護を与えると言われています」


 おぉ、やっぱりあるのか……! 

 ちょっとテンション上がってきた! 


「どうやって確認するんですか!?」


 ステータスですか? ステータスって叫ぶんですか!? 


「ではこちらの水晶に手をかざして下さい」


 言わないんかい。

 まぁ手をかざすのもかっこいいから別に良いけどね。

 よっこらしょーいち。

 心の中でそんな掛け声をかけながら手をかざすと、水晶が光って、ステータス画面のような物が水晶の上空に写し出された。

 ステータス、出るんだ。

 落として上げるのいいと思いました、まる(作文)


 ■■■

 さいですか。=そうですか。

 という意味です。


 念のため注釈を。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る