第1話 おいおいどうしたんだいイケメン

 私は吉野よしの 開希あき。華の女子大学生である。 高校生の時に必死に努力して、やっとの思いで四年制大学に入学して、現在早くも大学三年生! 

 あと一年ちょっとで卒業だし青春を謳歌するぞー! 


 そんなことを思っていた時期が、私にもありました。


 あれですよ、あれ。

 最近流行りの地面がパアァって光って突然知らない所にいるっていう、異世界召喚アレです。

 ……勘弁して……。

 あと一年だし~とか思った所なんですけど。


 そんな想いと若干の現実逃避を込めて小さくため息をつくと、目の前に灰色の髪と赤い瞳をしたイケメンが見えた。

 ……本当にイケメン。少なくとも言葉では言い表せない程度にはイケメン。

 しかし、何故かそのイケメンは驚いたような顔をしている。

 おいおいどうしたんだいイケメン、イケメンが台無しだよ? 

 なんて心の中でイケメンに語りかけていると、突然イケメンがひざまづいて話し始めた。


「はじめまして、わたくしはこのレヴィン王国の召喚士として勇者召喚で貴女を召喚したローラン=ソルシエと申します。

 突然のことで混乱しているのは重々承知しておりますが、抑えられませんので率直に申し上げます」


 あ、これはやっぱりよくある『勇者になってくれ』的な____


わたくしと、結婚していただけませんか」


 ____……は?

 なんで私、突然イケメンに召喚されて突然イケメンにプロポーズされてるんだろう。いや本気でどうしたんだいイケメン。


「唖然としているお姿も素敵です」


 ……うふふ、おそらきれい。ここ室内だけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る