第42話 妖、妖怪だらけ

「ラノベって、読んでみると意外に面白な。」

 酒呑童子は、鬼の大きな姿でラノベを読んでいる。前回の流れの続きだ。

「本当ね。文字ばかりじゃなくて、私のような女性でもサクサク読めるから楽しいわ。」

 玉藻前は、酒呑童子に付き合ってラノベを読んでいる。意外に主婦やシングルマザー、中年の熟女が呼んでも楽しいのがラノベ。

「テンプレートも毎回のお馴染みの展開みたいで、安心のお約束だな。」

 大嶽丸は、ラノベの奥の深さの虜になっている。

「ゴオ・・・ゴオ・・・。」

 ダースベイダ〇、いや、鬼妖神は、未だに眠り続けている。果たして目覚める日はやってくるのか。

「なんということだ!? 妖怪の世界でラノベが流行ってしまった!? 私も早くラノベを読まなければ! いや、それよりも早く第8話で忍者に倒される妖怪を創作せねば!?」

 案山子教頭は、教頭のくせに本を読んでこなかった。

「三大妖怪の三人にラノベ創作をさせるという設定自体に無理がある。誰がそんな設定のラノベを読むというのだ。」

 百目は、もし一つ目小僧であれば、本当は、もう消えている存在である。進化って素晴らしい。

「諦めて私たちで頑張って創作しましょう。もうストーリーは創作する必要がないので、毎回1匹の倒される妖怪を大量生産しましょう。ストーリー創作しなくてよくなったので、妖怪を1話1匹創作でなく、5匹くらい創作してみましょう。」

 九十九神も、唐傘であれば、本当ンは、もう消えている存在である。進化って素晴らしい。

「さあ! 創作スタート!」

「それでは新しい妖怪を「怒涛」に登場させて、妖怪クラブに活気を与えましょう!」

「今のままでは三大妖怪の遊び場でしかありませんからね。」

「酒呑童子様は、鬼。玉藻前様は、人型と物とか。大嶽丸様は、化け物。きれいに勢力は分散できています。ただし、5、6、7の妖怪は全て、玉藻前様の配下。」

「ぬらりひょんと朱の盆も人型なので、玉藻前様の配下。若しくはぬらりひょんは三大妖怪に並ぶ大妖怪の一人か?」

「ぬらりひょんがいれば四大妖怪か? 違う。ぬらりひょんは同列ではなく、ラスボスだ。それが偉そうなのを三大妖怪に疎まれて、左遷され姿を消したのだから。」

「それか、そんな込み入ったストーリーにしないで、1話で倒される妖怪の1人として登場させれば良かったのだろうか?」

「難しいな。答えのない問題だ。」

「どおれ、俺が鬼を召喚してやろう!」

「酒呑童子様!?」

「いでよ! サイズ鬼たち!」

「小鬼です。」

「普通の鬼です。」

「大鬼です。」

「一度に三体も!? さすが酒呑童子様だ!」

「そう。じゃあ、調子に乗って、もう一度、召喚してやろう!」

「え?」

「いでよ! 色鬼たち!」

「赤鬼です。」

「青鬼です。」

「緑鬼です。」

「黄鬼です。」

「桃鬼です。」

「ゴレンジャ〇かよ!? って、しっかり決めポーズまで!?」

「黒鬼です。」

「白鬼です。」

「金ぴか鬼です。」

「プラチナ鬼です。」

「おまけかよ!? って、何でも語尾に鬼をつければ、新しい鬼の完成かよ!? 萌え鬼、ざる蕎麦鬼、キムチ鬼、水泳鬼、クラシック鬼、介護鬼・・・何でもありだな。」

「うわあ!? 鬼だらけだ!?」

「ここいらで少しはまともな鬼を呼んでおこうか。」

「ええー!? まだ呼ぶんですか!? 部室が鬼に埋もれますよ!?」

「いでよ! 鬼たち!」

「餓鬼です。」

「悪鬼です。」

「邪気です。」

「茨木童子です。」

「羅刹です。」

「疫鬼です。」

「天邪鬼です。」

「鬼って、意外と簡単に量産できるんですね。」

「その通り! 俺の呼ぶだしに応じない鬼はいないのだ! ワッハッハー! まだまだ出せるよ?」

「もう結構です。」

「百々目鬼です。ほぼ百目と同じです。」

「まだまだ鬼を呼びだせるぞ。 呼んでやろうか?」

「やめてください!」

 カロヤカにお任せあれ。

「百目って、鬼神だよね。」

「そういう付喪神は神だよね。どうするの?」

「元が物だから、玉藻前様チームでいいよ。」

「呼んだかい? 鬼だけ増えたら不公平だから、人型と物とかの妖怪を私が呼んでやろう。」

「ろくろ首です。」

「お岩さんです。」

「河童です。」

「天狗です。」

「虚無僧です。」

「大入道です。」

「火車です。」

「猫娘です。」

「こなきジジイです。」

「砂かけババアです。」

「一反木綿です。」

「ぬりかべです。」

「なんだろう? 半分くらい水木しげ〇大先生問題に該当するような。」

「妖怪モノを書くということは、良いも悪いも水木しげ〇大先生に触れるのだな。」

「だから、みんな妖怪モノを書かないのか。」

「納得。」

「納得している場合ではない。オリジナルの妖怪を創作しなければいけない。」

「例えば、妖怪ウォッ〇のジバニャン。一言でいえば、ケロロ軍〇が妖怪になっただけである。」

「猫とカエルを変えただけで、製作会社や時間帯も、おそらく同じだろう。」

「コネ? お金? 付き合い? 大人の事情? アニメ化される、採用される、まあ、素人たちには無理な話だな。うらやましい。」

「妖怪に触れる。難しい問題だ。」

「どうだろう? 大嶽丸様の鬼神の配下をオリジナルの妖怪にしますか?」

「三大妖怪で回すと、3話に1回の創作で良い。」

「できるか? 私にオリジナルの妖怪を創作することができるのか?」

「基本は、蜘蛛を改造して、蜘蛛男だな。」

「でも、人ではない方がいいのだろう?」

「鬼神って、鬼の神だから、酒呑童子と玉藻前の勢力と被らないようにするのは大変だ。」

「ということは!? 裸の女が鬼神でいいんじゃないか?」

「そうしよう。ワッハッハー!」

「おまえたち! まじめにやれ!」

「お、お、大嶽丸様!?」

「ヒョエエエエエエエー!? お許しください!?」

「もう、おまえたちには任せてはおけない。私自ら鬼神を創作して、この戦いを終わらせる。」

「あるにはある。ただ・・・。」

「ただ?」

「主役級にカッコイイ鬼神になってしまうので、ここで登場させるかどうか悩んでしまう。」

「何を言っているんですか!? 出し惜しみは無しですよ!」

「鬼神なので、鬼でもなく、人型と物型の妖怪でもない。鬼神の定義は、魔物がベースだ。」

「魔物!?」

「そうだ。魔物だ。水木しげ〇大先生系ではない、魔物が主体となった妖怪たちだ。」

「それか異世界ファンタジーから連れてきますか? ゴブリンとかドラゴンとかの魔物。その方が創作ゼロで直ぐに呼べますよ。」

「え?」

「それとも前に書いた、織田信長を鬼神として呼び出しちゃいましょうか? それも創作ゼロで直ぐできますよ。その方が大嶽丸様も、配下の質が良くなってプライド保てるでしょうし。どうします?」

「宜しくお願い致します。」

「はい! 決まり!」

「大嶽丸様の配下の鬼神は武田信玄とかの過去の武将の魂ということで!」

「あれ? それだと異世界ファンタジーの魔物担当は誰になるんだ?」

「おお! 大妖怪のポストが1つ出来てしまった。」

「創作って続けていれば何か生まれるもんだね。」

「ワッハッハー!」

「次回は、大妖怪の新しいポストを考えよう。」

 カロヤカにお任せあれ。

 つづく。

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