第27話 ラ、新作を書こう!?

「ライト文芸部は創作する部活動の場。だからグダグダしていて良いのだ。ワッハッハー!」

 天は、自分は悪くないと自己弁護に走っている。

「そうね。うちは悪くない。ライト文芸部でキャラクターを確立させて、独立したら独立した所で、自分たちでストーリーを考えればいいのよ。」

 麗は、珍しく天に同調した。

「ライト文芸部、忍者部、妖怪部で三国建立。さあ、4部活目を創作するのが、ライト文芸部の仕事です。」

 大蛇は、ライト文芸部として本当の部活動に戻そうとしている。

「ジャンルは異世界ファンタジーでも、ラブコメでも何でもいいので、面白くはありませんが、話を膨らませずに狭い世界の物語がいいです。疲れたので。ニコッ。」

 笑は、ライト文芸部の体力が少なくなっていると言っている。

「ちょっと待った! 私が主役の女教師モノはどうなったのよ? 打ち切るなら私の年齢を30歳から25歳に若返らせなさいよ!」

 苺は、自分の作品が既にお蔵入りしていることに気づいていない。若返り、冒険者の旅の目標の一つである。

「不老長寿に、不老不死。若返りの秘宝。7つのドラゴンボー〇。何でもいいですよ。華麗に私が目的を果たしてみせますよ! ワッハッハー!」

 カロヤカさんは、この物語の上では最強の存在であった。

「みなさん! 今日の和菓子は、昔懐かしい甘食ですよ! もちろんお茶もありますよ! エヘッ。」

「コンコン。」

 本物の幽霊おみっちゃんとコンコンは、本当の意味でテンプレートだ。揺らがない毎回のセリフ。帰るところは和菓子名のみ。

「なかなか美味しいわね。おみっちゃんを皇居に住まわせ宮内庁の職員にして、私専属のメイドにしようかしら。」

 奏は、幽霊だがおみっちゃんの働きぶりに感動していた。

「相変わらず、みんな好き勝手しゃべって、話が前に進まない。ライト文芸部は、グダグダな青春日常モノだからいいけど、忍者と妖怪は第5話を書けるようにストーリーを進めていかないとダメよ。あ、私は食べたら帰るからね。」

 幽子は、語尾はテンプレート・・・テンプレート=口癖みたいなものか。

「さあ! ショートコント・スタート!」

「少ない!? 確かに忍者と妖怪の方が人数が多いわ!?」

「そうか! ライト文芸部員9人と1匹の我々だけだと、けいお〇みたいにオヤジギャグ連発でつながないと、1人1言1巡でも1000字もいかなかったのか!?」

「これは不味い!?」

「真面目に考えよう。」

「いつも真面目ですが、なにか?」

「とりあえず主人公は、男と女。」

「異世界ファンタジーと、ストーカーと、双子とミックスした作品にしよう。」

「ジャパロボSはどうするんですか?」

「あれも異世界ファンタジーといえば、異世界ファンタジーだし、同時進行でもいいだろう。」

「「君との約束は守ったよ。」

 彼はニコッと彼女に笑いかけた。」

「い、いきなりなんですか!?」

「いきなりステー〇!?」

「新作の冒頭シーンだ。」

「し、新作!?」

「キャラクターを作らないで、ストーリーから作るとこうなる。」

「か、彼はどうなるんですか!?」

「キャラクターをグダグダ作っている時にはなかった反応だな。」

「素直な人間なんです。」

「まあ、いい。教えてあげよう。」

「どうなるのか先を知りたい。これが小説を読む醍醐味である。多少のズレはどうでもいいのだ。読者は気にしない。」

「彼は・・・悪魔になる。」

「悪魔!?」

「なぜ!? なぜ彼女との約束を守ると悪魔になるんですか!?」

「それをこれから考える。」

「この時点で極小の話ではなく、対策の作品の可能性が大です。疲れますよ?」

「もっと1から考えたいな。」

「で、また名前問題か。決めるの面倒臭いな。」

「ジャルとアナにしよう。航空会社から頂きました。」

「スカイマー〇という名前はネームとして合わないね。」

「とりあえずスムーズに名前問題をクリアしたぞ!」

「奇跡だ!?」

「ここでやめとこ。体力の限界、次回に続くというやつだ。」

「やっとライト文芸部らしくなりましたね。」

 カロヤカにお任せあれ。

 つづく。

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