第6話 ライト文芸部、12人の忍者、悪役妖怪
「マジか!? ライト文芸部の1人1言1巡だけで結構、字数と尺を使うのに、睦月ちゃんの陣営と悪役妖怪の陣営もするというのか!?」
天は、無謀な拡大が面倒臭かった。
「無謀なのは分かるけど、何かしないと何も始まらないのよね。」
麗は、口の悪い部長の天をフォローする。
「決まったものは仕方がありません。天命に従うまでです。」
大蛇は、相変わらず真面目だ。
「大丈夫です。うちには、どんな出来事も華麗にこなすカロヤカさんがいますから。ニコッ。」
笑は、洋菓子バイヤーの乱を経て、少し性格が丸くなった。
「忍者でも妖怪でも、カロヤカにお任せあれ。」
カロヤカさんは、絶対無敵の設定なので痛くも痒くもない。
「おい! 私の30才以上のコンテスト作品はどうするのよ!?」
苺の話は、ライト文芸部の部員たちは聞いていなかった。
「みなさん! 今日の和菓子は、京都の八つ橋です! もちろんお茶もありますよ! エヘッ。」
本物の幽霊おみっちゃんは、本物の忍者の登場にも負けない。
「私たちだけで約500字。まだ機能しないんだろうけど、人数が増えて和気藹々とした場合、約1人につき50字としても大変な1人1言1巡になりそうね。あ、私は食べたら帰るからね。」
幽子は、あくまでもお茶をいただいたら帰るのである。
「睦月! いきます! 忍法! 旧暦分身の術!」
本物の忍者の睦月ちゃんは、早速、多重影分身を試みる。
「初めまして、如月です。」
現れたのは2月の旧暦の如月であった。
「お初にお目にかかります。悪役妖怪のラスボス、ぬらりひょんでございます。」
ぬらりひょんは、親分らしく丁寧な口調で現れた。
「ショートコント・スタート!」
「おいおい!? うちはライト文芸部であって、幽霊や忍者や妖怪って、毎日文化祭の仮装大賞をやっているんじゃないんだぞ!?」
「まだ、ぬらりひょんならドン・キホー〇でコスプレ衣装が売っているかもしれないわ。」
「幽霊と忍者は確実にありますね。」
「ライト文芸部をやめて、異世界漫遊部にしようか? 既に違和感がないから不思議だ。」
「バニーガールのコスプレ衣装も確実に売ってますよ。」
「だからうちは何部を目指しているんだ?」
「でも、これはベースの人数が8人と多い我がライト文芸部だからできる話であって、もし睦月ちゃん1人から始めるとなると、かなりの負担。話が先に進まなくなるかもしれない。」
「まず睦月ちゃんたちは、せっかく12カ月に分かれているんだから、その月によって得意な忍術があるはずだ。そこの設定から決めてしまおう。」
「睦月ちゃんは1月よね。何が得意な忍術なの?」
「特にないでござるな。オーソドックス、標準的な忍者でござる。」
「可もなく不可もなくか。1番個性がなくて困るのよね。」
「じゃあ如月は、何が得意なの?」
「やはり12月、1月、2月の冬の月の忍者としては、雪、氷は得意忍術に認めてもらいたいです。忍法! 吹雪! 忍法! 氷柱! とか。」
「如月の方が睦月ちゃんよりもしっかりしてるんじゃない?」
「ちゃんと忍者のことを考えているわ。」
「偉い! 如月!」
「それ程でも。」
「お、お、おかしい!? どうして本体の私が影分身に立場を脅かされているんだ!?」
「ちょっと待った! 私も新しい忍法を思いついたでござる! 忍法! メリークリスマス!」
「それって、12月の師走ちゃんの忍術じゃない?」
「ギクッ!? それなら、これならどうでござるか!? 忍法! ダイヤモンド・ダスト!」
「それって、忍術なの? 聖闘士星〇の見過ぎじゃない?」
「何でござるか? 睦月は忍者ゆえに、そんな昔のアニメなど知らないでござる!?」
「睦月ちゃん、動揺し過ぎだって。」
「そうだな。睦月ちゃんの忍法は、忍法! 初日の出! とか、忍法! 成人の日! とかでいいんじゃない。」
「おお! 何か分からないけど、面白そうな忍術でござる。」
「気に入っているのね。」
「良かったね。睦月ちゃん。」
「ありがとう。如月ちゃん。」
「お楽しみの所、割り込んで申し訳ありませんが、私にもアイデアの神様が舞い降りましたよ。へっへっへ。」
「ぬ、ぬらりひょんさん!?」
「既存の妖怪だけでは数が知れているし、新しい妖怪を108匹も創作していられないので、新たな妖怪のベースを見つけました。」
「新たな妖怪のベース?」
「日本史の偉人たちです。今までに「制覇!!!」と「宇宙歴史0001信長SF」で、織田信長などの戦国時代の武将を使用しています。それに「制覇!!!」と「いつ蛍が光るのか?」で、卑弥呼や紫式部などの歴史に名を残す者として、日本史の偉人たちと平家と源氏の鎌倉時代の将軍は使用済みです。おまけに「少年少女剣客隊」で、徳川15将軍も登場しました。これらを108匹の妖怪軍団に加え、さらにオリジナル創作の悪役妖怪を加えれば、あっという間に大戦力ができます。へっへっへ。」
「できる!? 伊達に賢いだけのラスボスじゃない!? あ、私は食べたら帰るからね。」
「幽子がぬらりひょんに対抗心を持っている!?」
「やっぱろ幽霊部員の帰宅部員のお茶をたかって帰るだけだけど、幽子って、ライト文芸部のラスボスなのね!?」
「ちょっと待ていー!? これでは如月1人を出しただけの私の立場が無いではないか!?」
「睦月ちゃんの負け。」
「そんな!? これでも旧暦家は代々将軍家にお仕えしてきた名門の忍者の家柄でござる! その旧暦家の1人娘の私が、ここで負けたとあっては、お家の名に傷がつく! くらえ! 忍法! 旧暦分身の術!」
「これ以上、登場人物を増やすな!? 尺がない!?」
「カロヤカさん! お願いね!」
「カロヤカにお任せあれ。」
つづく。
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