第28話

「さて、全員自己紹介も終わった事だしさっさと目的のやつ倒しに行きますか!!」

「「おお!!」」

「お、おう」


俺を置いて勝手に盛り上がるパーティーメンバー達に説明をして欲しいという視線を送る、するとエストがオドオドしながらこちらに近付いてきた。


「え、ええと、アキさんには言ってないませんでしたよね?私達はこの雪山に出るウィンタージェネラルというBOSSに挑むつもりなんですよ」

「ウィンタージェネラル、いやそれ和訳したら冬将軍じゃねぇか、洒落かよ」


アキはオドオドとしたエストの説明にあった運営側のふざけに空かさずツッコミを入れ、運営側のセンスに内心でため息を吐いていた。


「おお、流石アキすぐわかるたぁやるねぇ。流石ツッコミ大魔王」

「いやまずツッコミ大魔王って何だよ」


ツッコミを入れたアキにシャケが横から入ってくると何やら訳の分からないボケをかまし、アキは呆れた様子でこれまたツッコミを入れていた。


「ツッコミ大魔王にツッコミを入れる時点でツッコミ大魔王なんだよなぁ」


と、シャケが何やら訳の分からないことを言うので俺は歩き始めた他のメンバーの後を追い歩き始める事にした。


「お二人さん、イチャつくのはいいがBOSS討伐に向けての作戦確認するから聞いてくれよ?」

「「イチャついてねぇ!!」」

「へいへい」


ヘラヘラと笑いながらムイスラがからかうと二人は息ピッタリにそれを否定し、ムイスラを睨み付け話を聞く体制に入る。


「よし、あいつの情報は事前に調べてある。ウィンタージェネラル、あいつの推奨レベルはLv15推奨パーティーメンバーは5人だ」


確か推奨は何人の何レベが必要か、的な基準だったな。

公式が出してる訳でなくプレイヤーが勝手に決めているものだからそこまで参考にはならなかったりするが。

あくまで目安程度に考えるなら役に立つからいいが。


「敵の属性は言わずもがな斬撃と氷属性攻撃、抜刀の構えをとったら気をつけろ、広範囲の超強力斬撃が前方に向かって飛んでくるぞ。後は━━」


ムイスラの説明に耳を傾けているとカチャリカチャリと金属の撃ち合う音が聞こえて来た。


「何か音が聞こえるぞ?」

「…………おい待て、嘘だろ」


その音はほかのメンバーにも聞こえていたらしく、それを聞いたムイスラが顔をどんどんと青ざめたものへと変えていった。


「これは死んだな」

「ムイスラ、説明してくれ」

「わかった、この音の主の名は雪月家来。ふざけた名前の割に推奨レベルは現段階では不明、遭遇したヤツらは必ず全滅したと言われている」


ムイスラは青ざめた表情で説明すると武器を取りだし構え始めた。


「もうすぐエンカウントする、みんな構えろ」

「なぁアキ、あったやつはみんな全滅だとよ」

「みたいだな」

「それじゃあ倒すしかないよな!!」

「うちの子たちと俺の防御力がありゃいけるだろ」


戦慄を表情に表すムイスラに対し、シャケとアキは逆に楽しそうな表情を浮かべ嬉嬉として武器を構え始めた。


「ムイスラ、エンカウントまでにできるだけあいつの情報をくれ」

「わかった、あいつはウィンタージェネラル同様斬撃と氷属性攻撃、装甲はかなり高くStr6以下の攻撃にはビクともしなかったらしい。Vit7以下は一発くらったら致命傷になる、チッもうきやがった」


ムイスラの舌打ちと共に軽い吹雪の向こうからギラりと光る赤い双眼が現れる。


「ヴウオオオオオオオオ!!」


そしてその双眼がこちらを捉えた瞬間吹雪の向こうから蒼い甲冑を身にまとった敵が咆哮と共に現れた。


「『タウント』!!」

「『炎精霊の障壁サラマンドウォール』!!氷属性のダメージを軽減する魔法をつけておきました!!」

「サンキューエスト!!」


俺はエストにお礼を言うと右の指をならし、ほね太郎を呼び出す。


「ほね太郎、ヒットアンドアウェイで頼むぞ」

『はっ!おまかせを!』


アキはほね太郎に命令をすると、左手に盟友の盾を装備しナズナに作ってもらった死霊守護者の大盾を構える。


盟友の盾ってのは俺が付けた名前ね、この盾名前気に入らないし勇者ちゃんとの友情の証的な物だから盟友の盾。


━━ガィン!!


あっぶな?!


アキがそんな事を考えていると大盾にオカマの鞭とほぼ同等の衝撃が伝わってきた。


んにゃろう!!


衝撃を受けた方向へ大盾を使い体当たりをするとガィンという金属が撃ち合う音が再度し、大盾が右へと持っていかれる感覚に襲われる。


「うぐっ!!」

「アキ!!」


大盾が逸れ、目の前に雪月家来らしきBOSSが目に入った。

そしてその瞬間、雪月家来が抜刀の構えをしている事に気が付いた。


「間に合え、『アサルトインターセプト』オォォォ!!」


アキがその重い装甲を揺らしながら雪月家来に走ってゆき、そして雪月家来が腰に帯刀した刀を抜刀し振り抜いた。

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