糸くず

dorge

糸くず

糸くずをあつめて、家に池を作った。

白い池。

きっと中に蛇が住んでいると、彼はいった。

でも僕は中に蛇がいないことを知っていたので、彼を内心でバカにした。

こいつはバカだ。

でも僕はそんなことを顔には出さず、ただヘラヘラと笑っていた。


彼はいった。

「雨が降ってきた。」

彼が前に突き出した手のひらの上でなるほど雨粒が光っていた。


でもここは家の中だぜ、と俺は思う。

そんなのおかしいよと。


しかし、俺の背中にもピトリと水滴が垂れ、それに続いてざあ、と雨が降り出した。


雨は糸くずの池をかき乱した。

集めた糸くずはバラバラに部屋中に溢れた。

すると糸くずの底に蛇の姿が現れた。


とぐろをまいた白い蛇。


蛇は目をつぶり眠っていた。


俺は台所から急いで包丁を持ってきてぶすりと蛇の頭を刺した。


雨は止まなかった。

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糸くず dorge @tenarperzonas

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