Heaven's Door

@ioioioi

第1話 天国受付人

『未来にしますか?天国で休息にしますか?』


天国受付人の天使サンダルフォンは生前履歴書と目の前に立つ青い目が美しい20代半ばの女性に優しく問いかけた。この女性の生前履歴書によると死因は事故。ボーイフレンドが運転するバイクの後ろに乗っていたところに自動車が突っ込んできたようだ。彼女は突然の死をまだ受け入れていないようだが、雲で創造されているこの真っ白な空間とズラリとならんだ机につく羽の生えた天使達。そして天国受付所に並ぶ死者たちの長蛇の列を見て理解はし始めているようだ。彼女は不安げに天使サンダルフォンに尋ねた。


『死ぬのは初めてだし、突然のことで。未来を選んだらどうなりますか?』


天使サンダルフォンは"死ぬのは初めてだし"という言葉に吹き出しそうになった。必死にこらえながら丁寧答えた。


『そ、そうですよね。皆さん死ぬのは初めてですから。まずは"未来"を選択しますと生まれ変わることが出来ます。天国受付所2階にございます"未来課"で受付をして頂いて、前世の記憶や傷をリセットする施設で生まれ変わる準備をして頂き、それが済みましたら神様が1日に2回お開けになる現世へ繋がるドアから新しい人生へ旅立って頂きます。』


女性はポカンと口が開いたままだったが、天使サンダルフォンは続けた。


『天国で休息を選びますと、その名の通り天国でお休み頂いて、時が来ましたら生まれ変わって頂くコースです。天国は現世と全く同じ広さでして、国別で街も言語も全く同じですので不便なことはないかと』


天使サンダルフォンは1日に200回以上は同じセリフを言っているので台本を読んでいるかのようにスラスラと説明した。


彼女は少し悩んだが『未来』を選択した。天使サンダルフォンは"FUTURE"と書かれたスタンプを生前履歴書に慣れた手つきで押し、"未来課"のパンフレットと一緒彼女に手渡しながら天国受付人マニュアル通りのセリフを言った。


『良き来世を』

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