30日目  半田ー羽豆岬


 出発してから記念すべき30日目! もう一か月。江戸時代でも一か月あれば江戸から京都まで行けそうな気がするので、ずいぶん寄り道しているんだろう。それとも昔の人は、一日もっと長い時間を歩いているのかもしれない。


 とまぁそれはさておき、今日も京都や大阪とは別方向の、知多半島の先端を目指します。

 まずは国道247号線を南下。知多半島らしく、一直線の道路はなだらかで地平線が見えそう。

 看板に○○武豊店とあった。地名のようだけど何て読むんだろう。競馬のイメージがあるけど、「たけゆたか」じゃないよね?

 川の手前でいったん左に曲がって、ひとつ左に通っていた道に入る。地図によるとこちらが国道だ。それにこの先海岸線を通ることになる道だ。


 青山駅前を通過。それにしても知多半島というと畑と平野のイメージだったけど、街並みが途切れない。さすが名古屋の近くだ。

 踏切を渡ると昔ながらの瓦の目立つ長屋が多くなった。歴史のある街道かなんかなのだろうか。その先に例の「武豊駅」があった。たけとよ、と読むようだ。武豊線の終着駅の割には寂しい感じだったけど、それが逆に、果てっぽさを醸し出していて、悪くはないかな。


 再び南下。まだまだ周りは栄えていて、ロードサイト店がいくつも立ち並んでいる。餃子一皿99円。興味あったけどまだ開店時間前。残念。

 ちなみにこういう国道沿いには大型の薬局やらスーパーやらがあるので、買う気がなくてもトイレを利用しやすいのは助かる。

 左に緑が多い広い敷地が見えてきた。公園かなと思ったら、中部電力の火力発電所だった。住宅地にあるので、敷地が面している部分はいろいろ気を遣っているのかもしれない。


 さてこの辺りから左側(西方向)が海に近づいてくるので、ちょっと国道から逸れて行ってみた。しばらく歩いて砂浜が見えた。整備されておらず古くなった船がぽつんと置かれている浜だ。海沿いに陸地を見ると、ほとんど水平線と重なるくらいの高さだった。海抜の低い土地が続いているのが、改めて分かる。

 海岸と小さな道を挟んだすぐ横に、住宅が多数立ち並んでいる。大した堤防もない状態だし、津波対策はどうなっているのか少し心配になった。


 海岸沿いを歩いていると、河口に注ぐ川に突き当たってしまったので国道へ戻る。少し進むとその国道も海沿い面して進むようになってきた。

 そんな中、道路わきに立っている銅像があった。かっぱの花ちゃん像。インパクトはあるんだけど、調べてみても由来は不明だった。


 正面左手の海に、左に伸びるような陸地が見えてきた。知多半島の先端の方に近づいてきたのだ。

 左に広がる海。伸びる道路。右手にどこまでも広がる木々のコントラストが良い感じだ。

 しばらくすると町並みが増えてきた。さっきの武豊線とは別の、名鉄河和線の終点駅になる河和駅だ。電車で来る人たちにとっては、ここが知多半島の観光の拠点みたい。

 さて地図によると、この先にもかっぱ像があるみたいなので、国道から海側に向かってみた。するとこっちから見ると背を向けている像を発見。その背中に「ゆり子母ちゃんかっぱと申します」って書いてあった。さっきの花ちゃんの母ちゃんなのだろうか。

 このまま海沿いを歩いていたけど住宅の裏側のようなところに入ってしまったので、また国道に戻る。さっきから海沿いー国道を行ったり来たりしているような。さすがに時間もかかるので、ここからは多少海から離れても国道を通っていくことにした。


 そんな国道沿いにあった魚料理屋さんで、安定の海鮮丼で昼食をいただき、先へと進む。

 師崎まではあと8キロ。海沿いを走る道は気持ちいいんだけど、歩道がなくなってきたのがちょっと怖い。

 矢梨潮干狩り場を横切ると、南知多町という標識があった。いよいよ知多半島の先端に向かってきたイメージだ。ちなみに、少し歩いたら今度は乙方海岸潮干狩り場ってのがあった。すぐ隣のような気がするけど、別々なのは地権者的なものなのかな。って思ったら、今度は80m先、山田海岸潮干狩り場って。

 インフレして寂しい潮干狩り場の駐車場に比べ、やたら車が止まっている駐車場があったので何かと思ったら、病院の駐車場だった。やはりどこの地域でも病院は繁盛しているようだ。

 今度は境川潮干狩り場って看板があったけど、こちらは草が生えていて明らかに寂れていた。さすがに作りすぎだよ。


 この辺りまで来ると、いよいよ先端も近づいてきたのか、前方に広がるのは水平線と地平線が重なる風景。最果てって感じで感慨深い。

 そんな中どこまでもまっすぐに連なって、緩やかなくぼみのようになっている道は北海道を思い浮かべる。

 そんな最果てっぽい雰囲気とは裏腹に、南知多町の中心に入ってきたのか、建物が目立ってきて、観光客向けの施設も多くみられるようになってきた。そのため歩道も整備されて歩きやすくなった。

 師崎の漁港を抜け、ようやく最南端の羽豆岬に到着。

 景色も良く三河湾の島々、この間まで歩いていた渥美半島、そして志摩半島もしっかり見えた。

 岬には碑がたっていた。この形は……豆だ。羽豆の豆にちなんでいるのかな。その碑には羽豆岬という歌の歌詞が彫られていた。

 なんで岬の歌って多いんだろう。自分が何となく岬めぐりをしているのと同じものなのかな。ってよく見たら、作詞秋元康・歌SKE48って書いてあった。演歌系の歌だと思っていたから意外だ。でも言われてみると確かに、歌詞が現代的だ。それに詩も長い。これは昔の歌に比べてテンポが速いからだろう。碑にびっしりと文字が埋まっていた。

 あんまりアイドルには興味ないけど、よく考えればここはSKE48の地元だった。知多娘。で売り出した知多半島らしいかな。って、そういえばその知多娘。を見ていない。

 見かけたのは萌えキャラからは程遠いかっぱ母娘だけだ。


 せっかくなんだし、明日はそこもチェックしておこうと思いながら、今日のホテルへと向かう。今日はここまで。お疲れさまでした。



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