帰宅部部活停止中

工藤銀河

1日目前半 彼女と俺の共通点

帰宅部 それはどこの学校にもあるがどこの学校にもないもの

そしてアニメやマンガの世界では主人公がよく所属しているが現実的には

インキャやオタクのもの

つまり帰宅部で青春を謳歌することはほとんどないはずだった・・・

だがある日、一枚の紙が配られた。

「どゆこと?」おもわず俺は自分の目を疑った。


   テスト期間のため部活停止

テスト1週間前のため部活停止とする 大会前の部活は5時まで

帰宅部は帰宅禁止                   以上


「いや、おかしいだろ!」

おもわず紙にツッコんだ俺は佐倉翼 

とある公立高校に通う1年生だ。

特にやりたい事もないので帰宅部に所属している。しかし今回テスト前にもらったこの紙が俺の1週間を変えることになった。それも不思議な方向へ・・・


 「翼〜」ホームルームが終わった途端山川が声をかけてきた。「お前今日から学校にとまるんだろ?ドンマイだな。」にゃろう…。

「まあいいじゃん。お前天野さんといられるんだからよ。」

「えっ?」

「お前知らなかったのか?彼女帰宅部だぞ。」

知らなかった。全然知らなかった。だってあの天野さんが・・・


俺たちが話しているのは天野水菜。

俺たちのクラスの学級委員で黒髪ロングで眼鏡が似合うとても清純そうな女の子だ。

ここだけの話だけどめっちゃスタイルがいいし誰に対しても優しい。

この人がいるから高校生活に少し希望があると言っても過言ではない。

ぶっちゃけ超タイプだ。だから彼女と俺に共通点があるなんて思ってもいなかった。

だからこの1週間が少しだけ良くなる気がした。でもこの予感は見事に外れた。

なぜなら全然ちょっとだけじゃなかったからだ。


「今日の授業はここまでだ。1週間前だからしっかり勉強しろよ。」

先生はそう言うと「佐倉と天野は残れよ。」と言い残して教室を出て行った。

「ドンマーイ」「頑張れよー」などいらない応援を散々受けた俺は、いや、俺たちは10分もしないうちに二人きりになった。


こういう時、仲が良い奴なら普通に話せるし、逆に悪い奴なら話さなくてすむのだが、何しろ相手は1度も話したことのない女子で、しかもめっちゃタイプの子。

「ああ〜どうすればいいんだよ?」

そんな事を考えていると、ガラガラとドアが開いて、先生が入ってきた。

「お前らには1週間学校で過ごしてもらう。風呂と洗面所は学校のものを使え。寝る場所はないから二人で保健室で寝ろ。しっかり勉強もするんだぞ。」

へえ、この学校風呂場あったんだ。初めて知ったわ。

そんな事に感心していると、

「あ、あの、よろしくね。佐倉くん。」

「えっ?あ、う、うん。」

やべぇ、超声可愛い。

いやいや!変な意味じゃないよ?


よし、落ち着け俺。

話を整理しよう。まず、俺は1週間天野さんと一緒で・・・

風呂場は学校ので・・・寝るのは保健室で・・・ ん?

「はああああっ?」

ちょっ、ちょっと待て。俺天野さんと同じ部屋で寝るの?保健室で?

この時、俺が思っている事がわかる人はきっと思春期の血が流れてると思う。

そんな事を考えていて、しばらく動けなかった。


それからしばらくすると、先生が入ってきた。

「よし、二人ともいるな。着替えはお前らの親から預かってきた。」

あいつら(両親)、知っていやがったのか。

「佐倉、いくら日本が思想の自由を認めているからといって、天野で変なこと考えるんじゃねぇぞ。」

「妄想の自由は認めとらんわ!」

「ははは、そうだな。」

全くコイツは本当に教師か?度々疑う。

ちなみにこの先生の名は北野光弘。数学と体育を教える珍しい先生だ。

男子と仲が良く、いつも俺はツッコミを入れている。

友達からはよくコントみたいだと言われる。

「そうだ佐倉。」

「何ですか?」

「帰宅部の顧問は俺だから俺も学校に泊まる。天野と変なことしようとしても無駄だぞ。」

「するかっ!」

やれやれ…コイツの相手は疲れるなぁ。

てか、なんでこの状態でふざけられんだよ。

帰宅禁止の理由も教えてくんないしさ。

天野さんは…勉強してる

偉いなこの人。

「よしお前ら、風呂入れ!」

えっ…マジで?

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