第15話 ありがと
授業は上の空、部活でもダメダメで、自分でもヤバい自覚はあったけど、やる気も起きなくて。
よっぽど腐ってたんだろう。
数日後の昼休みに、マキから突然ビンタを食らった。
「奏、お前らしくない」
自分らしいってなんだ。
答えが返せない。
「どうせ三崎が行動起こして、自信なくしてんだろ」
「なんで?」
「言っただろ。佐原ちゃん、モテモテだって。三崎は、元から明らかに友達以上の感じだったし、最近は佐原ちゃんのこと触りまくってるじゃん。佐原ちゃんの困り顔見ると、三崎が告って、佐原ちゃん戸惑ってるって図式でしょうが」
「マキって、、、エスパー?」
「見てりゃ分かる。奏が鈍感過ぎなんだよ」
そうなんだ。
三崎さんに宣戦布告されてから、2人はやたらベタベタしてる。
まあ、三崎さんが一方的にスキンシップとってて、佐原さんからしてないのが救いなんだけど。
「佐原ちゃんは、三崎の事が好きじゃなくても無下にできないでしょ。優しい子だから。まあ三崎はそれにつけ込んでるんだろうけどさ。押し切られたら、ゲームオーバーだよ」
「分かってるけど、、、」
「なあ、奏。奏がグズグズしてヘタレなのは良く知ってる」
あ、やっぱり。
「でも、ここぞという時は、決して負けない所も知ってんだよ。『9回裏2アウトからでも逆転可能だ』って、いっつも奏言ってんじゃん。何もせず、佐原ちゃんが他の人と付き合うのを見るか、玉砕してから見るか、どっちよ?」
「、、、玉砕」
「んじゃやる事は一つ。頑張りな」
そうだ。
まだ逆転のチャンスはある。
それがどんなに望みが薄くたって、やるんだ。
「ありがと、マキ」
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