第8話 モヤモヤする気持ち

またあの組み合わせ。


なぜか古谷さんが明日香と組んだ事で、立花さん&長谷川さんという、異色ペアが出来上がってしまった。


さすがに、これはクラス全体の注意を引いたようで、あちこちから2人の仲を深読みする意見が聞こえてくる。


驚くのも無理ないよね。

ギャルの長谷川さんと、スポーティーで硬派な立花さんじゃ、接点なさそうだもん。


でも意外にも長谷川さんは運動神経良くて、練習が始まると、どのペアよりも様になっていた。


私じゃ、立花さんと組んでもきっと足手まといになるだけ。

羨ましいな。


「恵那、よそ見してたらぶつかるよ!」


ペアの相方になった理沙が声をかけてくる。


「ごめんごめん」


「あそこのペアはともかく、私的には、向こうの明日香ペアがツボなんだけどね」


そうやって理沙が向いた方を見ると、古谷さんが身長差を活かして、明日香を完全に弄んでいた。


ボールを片手で高々と持ち上げて挑発する古谷さん。

「ほーらほーら。取れるもんなら取ってみ」


え、結構真面目だと思ってたけど、大人気ない、、、。

あんな人だったんだ。


「明日香、楽しそう」

って理沙は言うけど、当の明日香は何とかボールを取ろうとぴょんぴょん飛び跳ねながら、

「何よ、あんたなんてデカイだけが取り柄でしょ」

と騒いでる。


あれは楽しいって言うのかな?

まあ見てる方は楽しいけど。


立花さんペアに目を戻すと、ネット下に移動していて、丁度立花さんが長谷川さんを抜き去ってジャンプシュートを放つところだった。


パシュっ。


綺麗な放物線が描かれ、ボールがネットに吸い込まれる。


おおっ。

そこかしこから感嘆の声が上がる。


やっぱり凄いなあ。


やっぱり、、、遠いなあ。

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