「異世界に全裸で召喚されました～女神とたたえられた私が王の花嫁になるまで～」

第7話水たまりをのぞいたらそこは異世界でした～金髪碧眼の王子様に一目ぼれしちゃいました･7

―ヒロイン視点―

ドミニクさんが、馬車から持ってきてくれた服を身につける。

異国の男ものの服だったけど、背広（上着、ズボン、チョッキ）に近い服だったので、なんとか着ることができた。

着替え中、王子様とドミニクさんは、離れた所で後ろをむいていてくれた。

「服を貸してくださり、ありがとうございます」

王子様とドミニクさんのところまでいき、お礼を言う。

「すみません、いまは男物の服しかなく、屋敷に戻れば女性物の服もありますので、どうかそれまでご辛抱（しんぼう）を」

王子様がようやくこちらを向いてくれた。

「いえ、着るものを貸していただけただけでも助かりました。本当にありがとうございます」

全裸で外国でヒッチハイクとか、考えただけでも恐ろしい。

最初に出会ったのが、王子様のようなやさしい方でよかった。

「女神様は、なんと寛容（かんよう）な」

あらためて王子様を、よく見る。

背は私より少しだけ高く、男の子にしてはか細い体つき。

金色のややくせのある髪、澄みきった空のような青い瞳、猫のようにややつり上がった目、スラリとした鼻、形のよい唇。

すっっっっごい美少年だぁ――――！！　ふんわりとほほ笑むその姿はまるで天使！！

こんな美少年、生まれて初めて見たかも～～！

王子様の前にいるだけで心臓がドキドキする！　ふわぁ～～！　一目惚れってあるのね～～！

「自己紹介がまだでしたね、ボクの名はレヴィン・ギュンター=イオニアス。イオニアス王国の王太弟であり、シェーンフェルダー公爵領の当主もしております」

レヴィン王子がうやうやしく頭を下げる。

レヴィン王子様、すてきなお名前。

「それから、こっちにいるのがボクの従者のドミニク=ビアホフです」

「ドミニク=ビアホフと申します」

ドミニクさんが自己紹介し、頭を下げた。

ドミニクさんは、筋肉質で、いかにも護衛～～って感じの人だった。

「ところで、イオニアス王国とはヨーロッパのどの辺にあるんですか？　ユーロには入ってます？」

「はっ？」

レヴィン王子と、ドミニクさんがポカンと口を開ける。

「お二人とも日本語がお上手ですね？　もしかして日本に留学した経験がおありですか？」

レヴィン王子とドミニクさんが眉をひそめ、顔を見合わせる。

「女神様……失礼ですが」

「私、女神じゃないですよ。有馬 匂桜（ありま ほのか）って言います。出身は天界ではなく日本で、桜ノ宮高校に通う普通の女子高生です」

レヴィン王子が難しい顔で、眉間をおさえた。

「どうやら女神様は、湖に落ちた衝撃で記憶が混乱していらっしゃるようだ」

「えっ？」

「お屋敷で休ませた方がよろしいのでは？」

「そうだな」

「ええっ？」

もしかして、私なにか変なこと言っちゃった？

「女神様、ここはイオニアス王国の東のはじにあるシェーンフェルダー公爵家領です。女神様がおっしゃるヨーロパ？　とかニホン？　という地名は聞いたことがありません」

「ふぇぇっ？？」

レヴィン王子の言葉に私は頭を抱える。

ここってヨーロパじゃないの？　そもそも地球じゃない？

もしかして、これが小説やアニメや漫画でよくある異世界転送ってやつなの？？

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