第3話水たまりをのぞいたらそこは異世界でした~金髪碧眼の王子様に一目ぼれしちゃいました・3
―レヴィン視点―
民の中には子ができない兄にかわり、若いボクを王にという声も出始めている。
この状況でボクが兄より先に子を授かり、ボクがイオニアス王国の正当な後継者だと、民が思ってしまったら……。
その時、兄はボクと赤子を容赦なく殺すだろ。
ボクがメイドと話をしただけで「王太弟殿下は、子を作れない兄王に代わり、子作りにはげんでいらっしゃる。若い娘なら誰でもよいようで、メイドにまで手を出している」とみょうなうわさを広められる。
おかげでボクはここ数年、年頃の娘とは、貴族はおろか使用人とすら話しをしていない。
王都にいれば「兄王に代わり政権を奪う気だ」と疑われ、シェーンフェルダー公爵領に帰り勉学にはげめば「帝王学を学び自らが王位につく気だ」と怪しまれ、植物でも育て心を落ちつけようと思えば「毒草を育て王を毒殺する気だ」と難癖(なんくせ)をつけられる。
だからと言って遊びほうけていれば、穀つぶ(ごくつぶ)しとそしられる。
四面楚歌(しめんそか)、針のむしろだ。
シェーンフェルダー公爵とは名ばかりで、公爵領の政(まつりごと)に関わることも許されていない。
酒と女に明け暮れることもできず、従者と釣りをして過ごす日々。
いっそのこと、他国の姫と結婚し、婿(むこ)入りでもするか?
だが世継(よつ)ぎのいない兄は、唯一の血のスペア(血縁者)であるボクを手放しはしないだろう。
だからと言って、あととりが生まれてから結婚相手を捜したのでは遅すぎる。
ボクはいま、本当に微妙な立ち位置にいる。
兄にバレないように、水面下で他国の姫との縁談を進め、兄に世継ぎが生まれたら即、結婚するしかない。
しかし問題が一つある。兄に世継ぎがいつできるかわからない状況で、そんな話に乗ってくれる国があるだろうか?
兄にあととりが生まれず、ボクと姫の婚期がずるずると伸びることを、相手は望まないだろう。
本当に血のスペアという立ち位地は面倒だ。
だがいつまでも悠長に構えてはいられない。ボクも今年で十八歳になった。真剣に将来の事を考えなければ。
ボクの肩には、従者とその家族の命がかかっているのだから!
「レヴィン王子、魚が釣れましたよ! しかも大物です! このまえ王子様が釣った魚は、赤ちゃんミミズより小さい雑魚の雑魚でしたが、こいつは大物ですよ!」
……まあこいつの場合はボクがいなくなっても、どこででも生きて行けそうな気がするが。
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