エンディングフェイズ:シーン6「夏の夕暮れ」
GM:雨が上がり、蒸した暑さに包まれた町。あなた方は踏切に差し掛かります。電車が来る気配はなく、聞こえてくるのはひぐらしの声ばかり。景色は夕暮れ。血のような夕焼け空が広がっています。
あなたの意識はほとんど虚ろになっていました。体が熱い。血が沸騰しているかのようです。湧き上がる『衝動』が今にも爆発してしまいそうです。
もう、抑えきれない——きっとあなたは、あと数分、ひょっとしたら数秒しか、人間でいられないでしょう。
夏時日葵:「夕方かな……紫苑、大丈夫?」
GM:日葵さんが、そう声をかけてきますが……。
紫苑:「……だ、だいじょう、ぶ」
わかっていた。もう自分はダメなんだ。早く日葵から離れなきゃ……。日葵だけは、傷つけたくない。そう言って握っていた手を放します。
夏時日葵:「紫苑? ちょっと?」
GM:手を放されて、数歩先に行った日葵さんが、何とか振り返ります。
夏時日葵:「あと少しできっと助かるよ。頑張ろう? 一緒に、生きよう?」
紫苑:「………………」それには答えられなかった。
どんどん自分が自分じゃなくなっていく。離れないと。はやく、はやく。でも、最後に一つだけ。
ここでエフェクトを使います。
GM:なんでしょうか……!
紫苑:▼《成長促進》Lv1:メジャー:シーン(選択):視界:侵蝕=:植物を成長させる。
これで、紫苑の花を作って日葵さんにわたします。
「……ぼくを、……わすれないで」
それだけつぶやいて。日葵さんから離れていきます。
GM:花を受け取って、でも、困ったような顔で。
夏時日葵:「……なに言ってるの。ねぇ、紫お……」
GM:言いかけて、しかし、日葵さんのその身体から力が抜けます。倒れかかってくるようですが、どうしましょう……?
紫苑:受け止めることができるのなら、受け止めます。
GM:はい では、あなたが日葵さんを抱き留めた、その瞬間。乾いた銃声が響いて──あなたの視界は赤く染まります。
斃れ伏す刹那、あなたが見たのは彼方から銃を向けた『人間』。化け物ではありません。そして撃たれたのは、あなたです、紫苑さん。
紫苑:はい。
GM:メタ的なお話になりますが、ここで、死亡となります。
最期に、あなたは何かを想うでしょうか。
紫苑:じゃあ、そうですね……。
自分を撃ってくれた人間に対して、感謝して。最後に抱きとめた日葵さんの顔を見ながら
(ぼくも、君を忘れないよ)そう心の中でつぶやいて、倒れます。
GM:では、あなたが倒れて、しばらくして。
???:「目標の沈黙を確認」
GM:と、銃を担いだ人間が呟きました。
???:「一般人の確保に向かう」
GM:別の人間が飛び出し、日葵さんの無事を確認して抱え上げます。
???:「よかった……この人はジャーム化していない」
GM:日葵さんはそのまま、その人間に抱えられて、安全な場所へと運ばれていきました。
あとに残されたのは黄昏色の町の中、ひぐらしの声に包まれて、静かに倒れ伏したあなたの骸のみ……。
GM:貴方はもう助からない。貴方は既に化物だ。
それでも、歪んだ腕で、歪んだ心で。護れたものが、そこにいたから。
──貴方の心が死にきる前に。
ダブルクロス The 3rd Edition『入道雲の空の下』これにて、終幕でございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます