オープニングフェイズ:シーン1「カタストロフ」
自分の体が何かに侵蝕されていく。また一つ、人間であることを手放した。
GM:感染災害が起きて。町内の体育館に避難して。そこに、化物が現れたところまでは覚えています。
気が付けばあなたは、死体だらけの体育館に一人、立っていました。目の前には、化物『だったモノ』がバラバラに散らばっています。
そしてあなたの体は、不気味な異形のそれと成り果てていました。
周囲からは蝉の声しか聞こえません。生温く、蒸し暑い――。
紫苑:「…え? …な、なに…? なにが、起こったんだ…? ひ、日葵は…日葵っ!」
顔からやけに汗が出る。こんな真夏にクーラーもない体育館にいるから、だと思う。
GM:そうですね、とても、とても暑いでしょう。
さて、日葵さんですが、蝉の声に紛れて、呻き声が聞こえます。
あなたの近くに日葵さんが倒れていて。……その顔は、目を中心にひどく負傷しきっていました。
紫苑:汗が一気に引いて、
「ひ、日葵!大丈夫!?け、怪我して、だれか、だれか」
と日葵さんに駆け寄ります。
夏時日葵:「う……、紫苑……?」
GM:日葵さんがあなたに気付きます。
夏時日葵:「顔が痛い……それに、真っ暗闇で……私たち、どうなったの……?」
紫苑:「わ、わかんなけど…ここで避難していたら、突然化物が現れて、それで…あ、あれ…?」
そこで自分の異変に気が付く。顔から流れているのは汗ではない。
自分の顔が、皮膚が溶けている。ぬぐった手に残る生暖かい塊は、先ほどまで自分の一部だったもの。
全身が恐怖に染まった。「う、うわあああああああ!!」
夏時日葵:「し、紫苑!? どうしたの!?」
紫苑:「か、顔が、ぼくの顔が…」
そう言って、日葵さんに見えないようにしますね。
夏時日葵:「顔? 怪我でもしたの……!?」
GM:日葵さんは、自分も怪我をしていますが、それでも紫苑さんを案じています。
紫苑:「………え? …ひ、日葵。もしかして、目…」
おそるおそる振り返ってみます。
GM:日葵さんは目の周りを酷く怪我しています。真っ暗だと言ったのは、恐らくそういうことなのでしょう。きっと、彼女には、世界はもう、見えていないのだと。
夏時日葵:「分からないけど、とにかく暗い……。周りのこと、よく見えなくて。でも、怪我してるなら、どこかで手当てしなきゃ……」
紫苑:「…ご、ごめん。なんでも、なんでもないよ。ちょっと、怖い夢見てたみたいで、寝ぼけてたのかな? 日葵こそ、目を怪我したんだね。…い、痛くない?」
夏時日葵:「……痛い……。けど、ここでこうしてるわけにも……」
紫苑:「そ、そうだよね。わかった。じゃあ、他に人のいるところを探すよ。早く治療しなくちゃいけないし…」
そう言って、日葵の手を握る。先ほど自分の皮膚が爛れたものを触ってないほうの手で。
GM:日葵さんは、その手をしっかりと握り返します。
体育館を出ましょうか?
紫苑:出るのですが、その前にちょっとだけやりたいことが!
GM:どぞー!
紫苑:日葵の手を握っていないほうの手には、肉塊の跡が残っている自分のこの姿を見られないという安心で、一瞬、ほんの一瞬でも、日葵が怪我をしていてよかったなんて考えてしまった。
自己嫌悪と、自分の身に起きたことに対しての恐怖。日葵の手を握った手は少し震えていた。そして体育館を出ますね。
GM:はーい
あなたは、大切な人を治療せねばならないこと、安全な場所へ連れていかなければならないことを理解するでしょう。
あなたの人ならざる聴覚には、蝉の声に紛れて、化物の唸り声や息遣いが聞こえてきます。ここから離れなければ……。
シーンを閉めますね
紫苑:はい!
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