第25話 不安

帰りの新幹線。

贅沢して、グリーン車に乗った。


僕持ちで・・・


「どうして、グリーン車に?」

「ふたりがけだから」

普通車だと、3人掛けもあるので、邪魔が入るのか・・・


昔の新幹線には、食堂車があった。

でも、今はない。

お客を詰め込んだ方がいいわけか・・・


「でも、どうして僕が窓際?普通は女の子じゃ」

「私、スピード怖いの・・・」

月から来て怖いのですか・・・


「太陽くん、ありがとうね」

「いいよ。楽しかったし・・・」


結局、目的はわからなかった・・・


月見草・・・

正直地味だ。


でも、それだけに惹かれる物がある。


「太陽くん、ちゃんと保管してくれてる?」

「うん。冷蔵庫に・・・」

「感心、感心」

頭を撫でられる。


照れくさいが、やはり嬉しい。


「あっ、駅弁が来たよ。買おうよ」

「もう、お金がない」

「それくらいは、奢るよ」


ルナさんは、販売員さんを呼び止めた。


ワゴン販売は、かなりの重労働だ。

廃止される日も、近いかもしれない。


新幹線は、早い。

あっという間に、東京に着いた。


「じゃあ、お疲れ様。ありがとうね」

「こちらこそ」


来年の今頃、ルナさんは隣にいるのだろうか?


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