第19話 本性
「僕の周りの女の子たちですが・・・」
「ええ」
かしこまってしまう。
同級生なんだから、タメ言葉でいいのだが、これが彼のいう素だろうか・・・
「彼女たちは、僕に気があるわけではありません」
「というと?」
「正しくは、僕の家の、財産が目当てなんです」
「それは、訊いたの?あの子たちに・・・」
弟さんは、黙ってうなずいた。
詳しく話せば、弟さんの義姉さんの実家は、かなりのお金持ちらしい。
メイドさんや家政婦さんも、何人も雇っているそうだ。
お姉さん自体は、普通の生活を望んでいるのだが、世間はそうは見ない。
そんななか、自分自身の事を好きになってくれた、今の旦那さんを好きになったようだが・・・
旦那さんも、弟さんも、いわゆる逆玉になったことは、知らなかったようだが・・・
「たしかに、女性のほうが金に対する執着心は強いからね」
「ええ」
ルナさんが睨んでいるようだが・・・
「太陽くん、いい?」
「ルナさん」
席を外した。
「どう思う?」
「弟さんの事?」
ルナさんは、首を横にふる。
「女の子たちのこと?」
ルナさんは、頷いた。
「僕も、女の子には、ひどい目に合ってるから、世間は女の味方というのは、否定できない」
「私も、そう思うよ・・・でも・・・」
「でも?」
「今はわからなくてもいい。でも、君の事を心から好きになってくれる子は、現れるから、
その子の気持ちは、大事にしてあげて・・・」
「でも・・・」
「周りには好きな事を言わせておけばいいわ。君も、彼もね・・・」
彼と言うのは、弟さんだろう・・・
しばらくして、弟さんの所へ戻る。
この言い方も、変なのだが・・・
「大地くん、僕の名前わかります?」
「そう言えば、知らない・・・」
まあ、クラスの殆どは名前を覚えてないのだが・・・
「谷口浩太(こうた)と、言います。よろしく」
「こちらこそ・・・」
しかし、学校では話さないでおこう。
そう意見が一致した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます