偏在する私と素数空《ダルマ》

「はい。

ポラリスの存在はもうじき

消えて無くなります」



「そんな…………。

何か、方法は無いの?」




「ハァ~、やはり諦めきれませんか……。

あなたはきっとそう答えると予想はしていました。

仕方がありませね……」


素数空は決して明るくは無く、

むしろ曇った表情でしぶしぶそう答えると、

食い下がるアンナに対して

ある条件を出した。


「ポラリスが消えるのを止めてあげましょう。

但し……、一つだけ件があります」




「条件……?

それはなに?」




「あなたにはその代償を払ってもらいます」




「代償ってなに?

ポラリスが助かるなら、

私どんなことでも受け入れるわ。

教えて?

私がどうなれば……、

ポラリスが助かるの?」




「あなたには次元の果てで

たった一人永遠に眠りにつくという約束をしてもらいます。

 ポラリスが万が一あなたをみつけたとしても、

決してポラリスをあなたに近づけてはなりません。

もしも約束を破れば、あなたとポラリスはお互い理性を失い

あなたがもしこの約束を破れば、

あなたとポラリスは共に記憶を失い、

仮になにかの拍子に記憶を思いだせたとしても、

あなたの理性が暴走し、ただでは済まないでしょう……。


あなたにそこまでの意志と覚悟はありますか?」




「……、



いいわ!

お願い」


アンナは一瞬は考えたが、

素数空にそうきっぱりと答えた。


——————————————————————

↑【登場人物】

•アンナ

•ポラリス

素数空ダルマ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る