ただそれだけの物語
手田リュウ
第1話 退屈の終わりと恋の始まり
徹夜明けの上野の頭を起こしたのはホームルーム開始を告げるチャイムだった。
「眠い...」
上野は軽く寝癖のついた短い黒髪をいじりながら机から顔を上げた。高校2年になり、クラス替えをしたため上野の数少ない友達は、上野1人を置いて全員同じクラス。取り残された上野はたいしてクラスに馴染めないまま、退屈な日々を過ごしていた。
「なんかこんな毎日を変えるでかいこと起き ねえかな」
そんな上野の退屈をぶち破る出来事が起きるのはフィクションの世界の中だけ。そう考えた矢先だった。
「今日はみんなに紹介する人がいます。さあ、入って」
担任である女性の先生がドアを開けると、そこには見たことない制服を着た黒髪ショートの女の子。男子から歓声が上がる。
「男子!うるさい!」
騒ぐ男子を一蹴したのはルーム長の高原。こちらは黒髪ロング。
「えっと、隣の市から転校してきました。北川唯(きたがわゆい)です。これからよろしくお願いします。」
盛り上がる男子。呆れた顔の高原。ざわつく女子たち。この時、この瞬間、上野直也の退屈が終わりを告げた。
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