第14浴 できれば「見なかった」ことにしたい!~対処しきれないレアケース~
私と職場の先輩との会話。
先輩「脱衣所で自前の便所サンダルみたいなやつ履いて歩きまわってる人がいるんだけど。どう注意していいかわかんないんだよね」
私「その人は私もたまに見ますけど、『履いちゃいけない』って注意書きないですもんね。普通に考えりゃアウトな気もするけど、すんごい潔癖症の人かもしれないし。『他人が裸足で歩き回る場所で何も履かずに歩きたくないわよ!』とか、『これがないと痛くて歩けなくて……』とか言われると、いろいろ面倒な気が」
先輩「……見なかったことにしよう」
私「そうしましょう。クレームが来たら社員に聞いて対処する、ってことで……」
職場は今日も忙しいのだった。
私「サンダル以外にも、いろいろ余計なもの装着してる人たまにいますね。サポーターとか、バンドみたいなのを足にグルグル巻いてたり」
先輩「それも普通に考えりゃダメなんだろうけど。怪我がどうこう言われるとまた面倒なことに」
私「……見なかったことに(以下同文)」
職場は今日も忙しい。
先輩「いつもいつも同じゴミ箱でタオルしぼるオバサン! ムカつくー!」
私「初めて現場を見たとき、開いた口がふさがらな過ぎて何も言えなかったんですよー。すぐそばに洗面所や浴室入り口があるのに、なぜわざわざゴミ箱で! 今度見たら絶対注意してやる! でもなかなか捕まらない! 『ここでタオルをしぼらないでください』って貼り紙したい! ビチャビチャのゴミを集めなきゃならない従業員の苦労を考えたことないのかー!」
職場はこれでも忙しい。
私「これもたまに見かけて、注意に迷うんですけど。浴槽内で化粧水のしみ込んだシートマスクしてたら、『成分がお湯に入るといけないので』って、注意できるじゃないですか。でも百均で売ってる、化粧水がないシリコンマスクってなんて言えばいいんだろ……」
先輩「たぶん、おもちゃとかを持ち込んじゃいけないのと同じ理由でアウトなんだろうけど。ちょっと言いづらいよね」
私「サウナで装着してる方を見ちゃうと、もう注意する理由が何も思いつかない」
先輩「それこそ、見なかったことに(以下略)」
職場はやっぱり忙しい。
私「露天風呂でサンバイザーかぶってる方にも、めっちゃ注意しにくかったです。気持ちはすごくわかるだけに。あれはほんと、できれば見なかったことにしたかった。『せっかく主人が買ってくれたのに……』なんつって睨まれたし……」
先輩「でもみんながマネしだしてサンバイザーや帽子だらけになったら、絶対お湯の中に落とすだろうし、収集つかなくなるよね」
私「そういえば私、この前スチームサウナで歯磨きしてるおじさん見ました。あ、こりゃアウトだわ、ってあとで思ったんだけど、そのときはあまりに驚きすぎて何も言えなかったです……普通に『失礼しました~』って去ってしまったです……」
先輩「奇想天外な行動でうちらを驚かせるの、ほんと勘弁して!」
マニュアルにも経験にもない突飛な行動をとられると、下手に注意などができなくて、従業員が裏で悩む羽目になります。
サウナでの仕事で大量に汗をかいたあとの、貴重な休憩時間、約五分。こんなことを話してる間に、あっという間に過ぎていくのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます