第12浴 さながら銃弾飛び交う戦場のように!

 みなさま、毎日お風呂楽しんでますかー?

 

 今日も戦場で幾多の銃閃を見極め、弾丸雨飛の中をかいくぐり、職務を遂行する日々を送っています。


 って、ちょっと物騒かつカッコよく書いてみた。なんのことはない、「客のシャワーの直撃を避けながら仕事をする温泉施設従業員」なんですけどね。



  ◇ ◇ ◇

 


 本当は、できれば近寄りたくない危険地帯。それが、みなさまが頭や体を洗うシャワーの備え付けられた、洗い場です。


 服を着た従業員のみならず、裸のお客さまでも、いきなり顔に人のシャワーがかかったら嫌でしょう。だから「シャワーを人にかけないように」的な注意書きも貼ってあるのですが、みなさま、そんなの見ないし。普通にあちこち飛ばしまくるし。


 しかしどうしても洗い場でしなきゃならない仕事もあるので、派手に飛ばしまくる客の存在を見極め、その後ろをダッシュで通り過ぎたり、素早く安全地帯を確保してしばらくそこで仕事したり……それでも被弾はまぬがれない。仕事が片付くころには、ひどいときには全身がビショ濡れになってます。


 従業員控室には、そんなときのためのタオル、ドライヤー、そして替えパンツまで常備されてます。さすがにパンツ履き替えたことはないけど。さっと拭いたあとは、乾きやすい生地の制服なので、自然乾燥でごまかしますね。


 周囲に人がいないはずなのに突然すごい勢いで頭上からお湯が降ってきて、慌てて発射源を確認したら、何メートルも先だったりすることも……。アナタ一体どんだけ巨大な放物線描いちゃったんだよと。遠距離射撃狙い撃ちとか勘弁してくれよと。


 シャワーだけでなく、浴室入り口に設置されている「かけ湯」も油断ならない。特に男性陣、すさまじい勢いで五回も十回も全身バッシャバッシャとかけまくる。周囲は被弾しまくりです。アナタは修行僧か。全身に勢いよくお湯を浴び続けるのが、男らしさの象徴だとでも思っているのか。


 いちばん嫌なのは、シャワーヘッドを股下に潜らせ、上に向けた状態で股を洗う人。あれ、角度が角度だけにものすごい遠距離飛んでいくのに、本人気がつかないんです。洗い場どころか浴槽にまで散弾が降り注いで、他のお客さまがたまで大損害ですよ。誰かの股を洗ったお湯を頭からかぶるとか……衣服ダメージのみならず精神ダメージがハンパない。


 そこまでやらない人でも、うっかり横や後方にシャワー飛ばしちゃう人はけっこう多いと思います。人にかけることのないよう、シャワーヘッドの向きには注意しながら使っていただけるとありがたいです。特に従業員が。


 みんな守ろうぜ、温泉マナー!

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