変人どもの青春譚

MHR

プロローグ 学び舎は変人で溢れている

 僕は自分の席でふと思う。


 僕がこの学校──夜月学園に入学してから半月がたった。


 この季節、恐らく僕と同じ年頃のの少年少女は様々なことを思うことだろう。


 例えば、『誰かと付き合ってみたい』、『部活に励みたい』、『アルバイトに精を出したい』、或いは『将来の為になる勉学にのみ集中』という人だっていることだろう。


 かといって僕の中で何かが変わった、なんてことは無い。強いて言うなら僕の外、即ち環境くらいなものだろう。


 義務教育を終え高校生になったのは当然だが、それ以外にも中学生の頃より家からの距離が近くなったり、学校の購買で買い物ができるようになったりといった、良い変化もあったが悪い変化もあった。

 そう、人間関係だ。


 別に悪党がいるという訳では無い。寧ろ良い人がほとんどだ。

 だが、だからといって問題が無い訳じゃあ無い。


 例えば、ある男は中学時代に喧嘩に明け暮れており、その上高い学力と許嫁?まで備えている。おまけに悪巧みを考えており何度か一緒に問題を起こしたことがある。

 またある男は、性欲の塊であり写真部でもないのに常にカメラを持ち歩き女子の際どい写真を撮りまくっているどころかその写真を取り引きすることにより、資金と他者との関係を手に入れ更なるエロの追求をしているそうだ。現に僕も何度か世話になったことがある。あの写真は見事としか言いようがなかった。

 またある男は、外見が超がつくレベルの美少女な上にいつもピエロや英国の紳士服など様々なコスプレをして登校してきている。しかもどの格好もとても似合っており、何度僕のハートを射抜いたかなんて覚えなんていない。男じゃなかったら告白していることだろう。現に高校に入ってから何度も告白されているらしい、男に。

 他にも『リア充を打ち砕け』というキャッチコピーを掲げた秘密組織があったり(僕は会員番号No.16)、体罰も辞さない生徒指導の女教師(何故かよく鉄拳くらっている)などがいる。


 まぁ、要するになんだ。何が言いたいかというと、


「この学校には変人しかいないのか?」


 ということである。


 そんな訳で今日も僕は自分以外の常識人を求めながらも頭を抱える。


 え、自分から探さないのかって?する訳ないじゃないか。そんな暇があったら少しでも怠ける道を選ぶさ。

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