高校最後の夏がきた
花
第1話
焼け付くような真夏の日。私は今日も学校に行く。
「あーーー、学校行きたくないなぁーー。もう終業式も終わったはずなのにどーして私は学校に行ってるの??」
「うるさい瑞希。」
「ねぇ、どうして咲!なんでなの!みんなは今頃家でぐーたらしてる時間なのに!私もぐーたらしたいぃぃー!!!彼氏とか作りたい!」
「それは瑞希がテストで赤点を取りまくったからでしょーが。」
「とったっけ?」
「とったわよ。そのせいで補習になったんでしょ。ね、啓太?」
「そうだな。瑞希が悪いな。」
「帰りたいーー。」
「大丈夫よ、瑞希。学校にあともうちょっとで着くから。」
「そうだな、我慢しろ。」
「いやぁーーー!!!」
焼け付くような真夏の日。私は今日も学校に行く。
「てかなんでさ、2人は学校に行くの?」
「私は、部活。啓太は勉強。」
「えぇー、勉強って真面目だねぇ啓太は。そんなに焦んなくていいのにー。」
「何言ってんだ。もう俺ら高三だぞ、いい加減お前も焦ろ。」
「私は楽に生きたいの!」
「呆れたわ。そんなんで卒業できんの?ね、啓太。」
「ダメだな」
「私はずっーと、3人で一緒にいたい!」
「・・・あっそ。」
「・・・さっさと行くぞ。」
「あっ、ちょっと待ってよー!!」
私と咲と啓太は幼なじみ。啓太はまぁまぁそこそこ?のイケメンで、女子にモテるらしい。咲はちょっとクールな女の子!咲も可愛い顔をしてるから咲ももてる。2人は頭がいい。
え?私はモテるかって?私は今まで告白されたことはなぁい!やっぱ人は顔じゃなくて性格だから。うん。
「ちょっと瑞希。さっさと教室に入りなさいよ。」
「ごめん、咲。ちょっと私教室に入ったら過呼吸になるって言う持病を持ってて・・・」
「いや、さっさと入れよ瑞希。」
「あっ、お腹が痛い。なんでかなぁ?ちょっとトイレに行ってきても・・・」
「「みーずーきー。」」
「はい、ごめんなさい。」
「じゃあ私、部活行ってくるから。頑張ってよ瑞希。」
「俺も、図書室で勉強するから。逃げんなよ瑞希。」
「分かってるよ!!」
仕方ない。教室に入るかー。ん?教室に誰もいない。あれ、もしかして補習生徒私だけ?ぼーっとしてたら先生が入ってきた。
「おっよく来たな、瑞希。来ないかと思ったぞ。」
「先生、もしかして補習って私だけですか?」
「おぅ、そうだぞ。」
「え!まじで?」
「お前だけだぞ、こんなに点数がひどいの。」
「そんなぁー。よし、逃げるか。」
「聞こえてんぞ、瑞希。俺だってこんな蒸し暑い中瑞希のために授業したくねぇんだよ。さっさと席つけ、終わらせるぞ。」
「先生も大変ですねー。」
「そう思うなら逃げるなよ。」
「分かりましたよー。今逃げたら2人にバレてコテンパンに怒られるんで。」
「あー、咲と啓太のことか。」
「え、なんで知ってるんですか。」
「知ってるも何も。俺はお前らの担任だぞ。それに有名だしな。」
「え、どういう有名?あっ、わかった。美男美女で有名なんでしょー。ほら、私って可愛いからさ!」
「そのポジティブ思考はいつもどこから来るんだよ。」
「え、じゃあ何で有名なんですか?」
「咲は美術部の部長で、賞も毎回とってるすごい人だからな。それに可愛いしな。」
「あっ、先生それセクハラ。」
「啓太は全統模試が全国で1位。おまけに運動神経がいい。かっこいい。何もかも完璧だ。」
「ふんふん。」
「そして、瑞希。」
「おっ!きたきた。」
「お前は頭が悪い上に運動神経も悪い。おまけに授業には毎回サボるわ、寝るわ、野生児の如く手に付けない問題児だ。」
「野生児とは失礼な!」
「完璧な2人にお前の組み合わせは周りにとってほんとにビックリなんだよ。」
「・・・・・・え?ほぼ私のせいで有名になってないですか?」
「まぁ、アンバラスな組み合わせだなお前らって。」
「んー、ずっと傍で育ってきたんで。」
「ケンカとかしないのか?」
「したことあるような・・・ないような・・・。覚えてませんね!」
「そうか。咲と啓太は瑞希といる時しか笑わないからな。やっぱりそういうの見てると仲良さそうだよな。」
「そうなんですか?よく笑いますよ!」
「そうなのか、それはビックリだな。」
「てか先生、授業、しないんですか?」
「あっ、忘れてた。」
「先生!!私さっさと帰りたいんですけど!」
「はいはい、じゃあ授業始めるぞー。」
そして私は頑張った。すごーくすごーく頑張った。でもやっぱり眠気と言うものは来るもので・・・。
「Zzzzz…。」
「おい、瑞希。」
「ZzzZzzZzz……。」
スパーン!!!
「敵襲かぁー!!」
「何言ってんだバカ。ちゃんと起きろ。」
「なーんだ、先生か。」
「おいおいおい、寝るな寝るな!」
「なんですか。」
「なんですかじゃねぇーよ。起きろバカ。お前卒業できねぇぞ。」
「えぇー、それは困るぅー。」
「じゃあさっさと顔洗ってこい。そしたら少しは眠気が冷めるだろ。」
「はーい。」
あっ、そうだ。トイレ行く代わりについでに図書室によって啓太の邪魔でもしようかなー。咲は今部活中だから構ってくれないし。そう思って私は図書室のドアを手にかけた。
「おーい、啓太ーー。ん?もう1人誰かいる。」
その時。私は今でも図書室に行ったことを後悔した。なんで図書室に行こうとしたんだろって。
だって
瑞希と啓太がキスしてたから。
私の中で高校最後の夏が始まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます